大企業の社内婚は「確実な投資」に近い

「同じ会社の人は気まずいので避けたい」

結婚相談所のカウンセリングではよく聞かれる言葉ですが、実は大手企業の方ほど、こうした拒絶反応が比較的少ない傾向にあります。大手企業の場合、その組織の巨大さゆえに、部署が違えば日常的な接触は極めて限定的となります。同じ会社というドメインに属していながら、物理的な距離によってリスクヘッジができるのです。「大手企業の社内結婚」は、もはや恋愛というより、確実性の高い投資戦略に近いものがあります。

だからといって、現代においては受動的な「棚からぼた餅」の幸運を待っていればどうにかなるというわけでもありません。

ハラスメントのリスクを大前提とした「リスクマネジメント力」はもちろんのこと、勝算のない対象を追わないための「メタ認知による自己客観視」、周囲の視線や噂の火種を察知する「環境洞察力」、そして初期段階で相手の警戒心を解くための「パーソナルスペースを遵守した距離感の制御術」を能動的に発揮して、この職場というマーケットを使いこなすことができるのです。

「全員に配給が届く時代」は終わった

しかし、こうした高度なスキルを使いこなすことは決して容易ではありません。また、職場には周囲からの評価という「第三者の視線」が常に介在しています。日頃の業務態度や人柄によって積み上げられた「信頼の貯金」というバックボーンがない者にとって、このマーケットは参入することすら叶わない、非常にシビアな場なのです。

もちろん、こうしたことを意識せずとも、たまたま同じ部署に気が合う相手がいたり、周囲が自然に繋いでくれたりといった形で、幸運にも結婚に繋がる人も一定数存在します。しかし、それはもはや再現性の低い奇跡を待つようなものです。かつてのような「全員に配給が届く時代」が終わった今、その奇跡だけに賭けることは、現代においてはあまりにリスクの高い選択と言わざるを得ません。

飲み会をする若者たち
写真=iStock.com/pain au chocolat
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