出会いのきっかけは依然「職場」が首位
ここで、近年の出会いの傾向について少し触れたいと思います。
デジタルネイティブである20代は、マッチングアプリで効率的に出会いを探していると思われがちです。多くのメディアでも、アプリ婚こそが現代の主流であるかのように描き出されています。
しかし、実態は少し異なります。明治安田生命が発表した調査(2025年版)によると、結婚した夫婦の出会いのきっけかは3年以内に結婚した夫婦に限ればマッチングアプリが首位ですが、全体でみると依然として「職場」が首位を走っているのです。
注目すべきは、アプリ全盛期を生きる20代においても、この「職場での出会い」がアプリと同じくらい根強く支持されているという事実です。
なぜ、まだ職場による出会いは上位なのでしょうか。
そこには、アプリという「自由市場」にはない、検証済みの情報と、コミュニティが担保する圧倒的な安心感があるからです。マッチングアプリというプラットフォームは、効率的ではありますが、本質的に「情報の非対称性」という問題を抱えています。
プロフィールに書かれた年収、学歴、あるいは写真――それらが「嘘ではないか」と疑い、精査するコストは想像以上に高いのです。アプリ利用者であれば、こうした経験が一度はあるのではないでしょうか。
タイパ重視の若者が気づいた「職場」の良さ
一方で職場は、アプリに並んでいるようなファーストステップでの「条件」や「外見」の嘘が物理的に入り込みにくい場所です。
もちろん職場に嘘が全くないというわけではありません。しかし一つの嘘がキャリアや人間関係を崩壊させかねない、強力な相互監視が働くため、「裏切り」が生まれづらい環境だといえます。
若者は、タイパを重視するからこそ、情報の真偽が不明なアプリでの消耗を避け、最も信頼できるインフラとしての職場を、戦略的に再定義しているのです。
しかし、「職場での出会いが依然優位であること」は必ずしも「何もしなくても職場で良い出会いがあること」にはつながりません。
では、令和の若者たちがどのようにして職場で将来の伴侶を見つけているのかというと、彼らは「社会のお膳立てシステム」に頼ることなく、自ら積極的な行動を起こしているのです。


