「ナナメ上に3mm」を意識するだけでいい

胸骨の矢印は、骨格的にはナナメ上70度くらいを指しています。胸骨を意識することがいまいちピンとこない人は、胸骨を「ナナメ上の方向」に、3ミリくらい出してみましょう。3ミリですから、目で見てもほとんど分からない程度です。大きく動かすのではなく、ほんの少しだけ動かしてください。

あるいは、胸骨からナナメ上の方向に、「小さな矢印」を向けるイメージを持つのも有効です。小さな矢印に、ほんの少しだけ胸骨が引っ張られる感じです。このように、ほんの少し胸骨を意識するだけで、あなたの心身は勝手に最適化されていきます。

明日やあさってに、そうなるのではありません。今この瞬間からです。

「背筋を伸ばす」のは間違い

私の整体では、人体を「骨格でつくられた構造物」として見ていきます。人体の理にかなった「正しい構造物」になっていれば、誰もが健康を取り戻すことができます。では、「正しい構造物」とは一体どんなものでしょうか? 試しに、あなたの考える「正しい構造物」の姿勢になってみてください。

多くの方が、背筋をピンと伸ばした姿勢になったのではないでしょうか? 私たちは幼い頃から、「背筋を伸ばしなさい」「猫背はよくない」と教わります。そのため、「よい姿勢=背筋を伸ばした姿勢」だと勘違いし、わざとらしく背筋を伸ばしてしまいがちなのです。

この姿勢では、骨を使った構造体として体をバランスよく支えることができません。崩れている体のバランスを保つために、肩や腰などの筋肉が動員されます。肩や腰の筋肉は、人体を支えることが本業ではありません。本業ではないことを無理やりやらされているため、コリや痛みの原因になるのです。

胸骨を意識できていると、できていない場合の違い
胸骨を意識できていると、できていない場合の違い。人体のバランスが崩れると、姿勢が悪くなるだけでなく、内臓も圧迫されてしまう(出所=『読むと「一瞬」で体が変わるすごい本』)

また、人体のバランスが崩れていると、内臓があるべき位置に収まらず、本来の機能を十分に果たせなくなります。呼吸が浅くなったり、胃腸の調子が悪かったりするのも、その一因は、骨格が「人体の理にかなった構造体」になっていないからなのです。

なぜ私たちの骨格は、こうも繊細な構造をしているのでしょうか? その理由は、人間が二足歩行を始めたからだといえます。別の言い方をすると「背骨を立ててしまったから」ともいえます。骨格の合理性からいえば、実はほかの四足歩行の動物のほうが理にかなっています。