カタカナではなく、ひらがなの食べ物を
私たち戦前に生まれた日本人は、日本食が体に染みついています。食糧難も体験しています。ですから、食に対する節度をもっています。私も食べることは好きですが、テレビでやっているような、食べ歩きとかグルメ特集というのにはなかなかなじめません。
だからこそ、私も89歳ですが、戦前生まれの人はけっこう長生きしているのかもしれません。戦後に生まれた人たちは、このままの食生活を続けていると、健康で長生きできないのではと心配したりもします。
私は湯豆腐が大好きです。昆布の出し汁を飲むようになって体調もよくなりました。
それに刺身も欠かせません。納豆、漬物など発酵食品もよく食べます。締めはやはりご飯です。ニンジンご飯、タケノコご飯、栗ご飯と、旬の食材を使った炊き込みご飯が大好きです。
朝ご飯に塩鮭や塩辛が出てくれば、いい気持ちで一日のスタートが切れます。
そんなわけで、自分の食生活を振り返ると、図らずも日本食が中心になっています。
日本食が嫌いな人には無理にとは言いませんが、せっかく日本に生まれてきたのですから、日本の伝統食を楽しんでみてはいかがでしょうか。
幕内さんは、カタカナの食べ物ではなくひらがなのものにするといいと言っています。
たとえば、「パスタ」ではなく「うどん」、「ラーメン」ではなく「そば」、「パン」ではなく「ごはん」、「ステーキ」ではなく「すきやき」、「シチュー」ではなく「みそ汁」、「サンドウィッチ」ではなく「おむすび」でしょうか。これも日本の伝統食の判断材料になるかと思います。
心身の疲れが一気に消し去るような食べ物はこれ
日本食ばかりかというとそうでもありません。
若いころは牛肉のステーキが大好きでした。3センチくらいの厚みのあるステーキをぺろりと平らげたものです。特に、手術が終わったあとは必ずステーキでした。
「よく手術のあとにステーキが食べられますね」
患者さんの胸からお腹を切り開いたあとですから、肉料理なんかほしくならないだろうと、みなさん思うようです。
私の専門は食道がんで、食道の手術は時間がかかります。何時間も立ったままで体力を消耗します。
細かいところまで気をつかわないといけないので神経も疲れます。やっと終わってホッとしたときはクタクタです。こういうときには、肉がほしくなるものです。
ステーキを食べると、心身の疲れが一気に消えていく感じがしました。
年をとるとさすがに分厚いステーキは食べる気がしません。今はもっぱらすき焼きをいただいています。

