5年で売り上げを2倍にすると決めることの1番の効果は、社長が具体的なアイデアを色々と考え始めることにあります。こうして、5年後の具体的な売り上げ計画を立てることによって「今日、何をすべきか」が初めて明確になるのです。目標を具体的に定めることによって会社が何に挑戦すべきかが初めて見えてくる。
社長の1番大切な仕事は会社の方針を決定することです。5年間の長期計画を立てることによって、この1番大切なことが段々と分かってくる。長期の経営計画は5年後の会社のありようを決めることが目的ではありません。「今、何をすべきか」を明らかにするために必要なのです。
それから長期計画の作成で肝心なのは毎年見直すこと。作ったら終わりではありません。長期計画を作るのは、「今、何をすべきか」を知るためです。1年たてば、会社を取り巻く客観情勢も社長のビジョンも変わってくる。円は上がっているかもしれないし、下がっているかもしれない。こうして、毎年計画を見直して、それを達成するには何が足りないかを考えれば、今やることが自ずと見えてくる。
5年の長期計画を立てる目的は、今やるべきことを明らかにするため、と分かってもらえたと思います。とはいえ、5年で売り上げが2倍というのは決して夢物語ではありません。なぜなら実際にやった社長がいるからです。それは私です。私が初めて「長期事業構想書」を作り、「5年で2倍の売り上げ目標」を経営計画発表会で発表したパーティーの席で最古参の課長(当時)狐塚富夫は「そんなこと可能なのですか?」と聞きました。私は答えました。「無理に決まってるだろう」と。それから5年後、狐塚の期待を裏切って売り上げは本当に2倍になった。成功の要因は新規事業への参入でした。努力すれば目標は必ず達成できるとは言いません。でも、正しいやり方で正しく努力すれば、無謀と思えるハードルも越えられるものなのです。
※本連載は『絶対に会社を潰さない 社長の時間術』(小山昇著)からの抜粋です。