時間が足りないと嘆く経営者は多い。そうした会社では社員も時間に追われている。なぜ時間が足りなくなってしまうのか? 経営者は時間とどのよう に向き合うべきなのか? 会社を強くする時間の仕組みとは? 経営者の視点から時間術を語り、経営者のみならず一般社員からも多くの支持を得ているのが 『絶対に会社を潰さない 社長の時間術』(小山昇著)だ。経営のカリスマとして全国の社長から厚く支持される小山氏が時間の使い方について語った。

武蔵野では課長職以上は9日間の長期有給休暇があります。月末から月初にかけて9日間連続で休むことを課長職以上の社員に義務付けています。休み中の社員は絶対に会社に来てはいけません。休み中に仕事をすると始末書なので、社員は休むほかありません。なぜここまで厳しく長期休暇を取らせるのか。それは社員に長期休暇を取らせることが会社にとってメリットがあるからです。

メリットの第1は会社人間を作らないことです。社員は職責が上がれば上がるほど家庭を顧みずに仕事をするようになります。仕事熱心なのは結構ですが、朝から晩まで仕事だけの人間は面白くもなんともありません。本当に優秀な社員は「よく遊び、よく学べ」を実践しています。

また、プライベート、特に家庭を犠牲にしてはいい仕事はできません。仕事の充実のためにも家庭に問題がないようにする。ところが、休暇が取れないとなると、家族に不満が募ります。そうなると仕事にも悪い影響が出ます。まず第1に「家族を考える」。特に既婚者はこれが非常に重要になります。プライベートをしっかりさせ、仕事に打ち込める家庭環境を作るために長期休暇が必要です。

メリットの第2は人材の育成です。課長職以上が長期休暇を取って、自分の部署の業績が下がって賞与が50%ダウンになることもあります。長期休暇を義務付けておいてなんて酷い仕打ちだ、と思われるかもしれません。