「全部入り」で体に余計な負担をかける

理由その2)「いらない成分が多くふくまれている」から

たしかに「カゼ」は先述したようにさまざまな症状を呈します。よって街場のドラッグストアでよく見かける総合感冒薬には図表1にお示ししたように、これらの症状に対応すべく多種多様な成分がふくまれています。

しかし症状は「のどは痛いけど、咳は出ない」「鼻汁はすごいし咳も出るけど熱はない」など個々の患者さんによってことなります。

総合感冒薬はそういった個々の症状はまったく無視した処方となっているのです。

まず「解熱鎮痛剤」。これはすべての商品にふくまれています。発熱は個体の免疫反応のひとつ。しんどい場合に一時的にリセットするために頓用で使うならまだしも、熱は通常は薬で安易に下げるものではありません。

しかしこれらの薬を1錠を飲むと、熱がつらくない人、熱のまったくない人にまでこの成分が「いや応なしに」体内に入れられてしまうのです。

「咳止め」や「鼻水・鼻詰まり」用の成分も同じこと。予防にもならないこれらの成分を、症状もないのに取り込む勇気がある人は、あまりいないのではないでしょうか。

【図表】総合感冒薬に含まれる成分の例
筆者作成
※成分量はいずれも15歳以上の1日量で算出しています。

さらに言えば、これらの「全部入り」は、体に余計な負担をかけることにもなりかねません。多くの薬は肝臓で代謝され、腎臓から排泄されます。症状がないのに摂取した成分も、あなたの内臓は必死に処理しなければなりません。

カゼを治すための体力を温存すべき時に、薬の処理にエネルギーを使わせることが「合理的な選択」といえるでしょうか。

むしろ有害な成分3つ

理由その3)「副作用を引き起こし体に害をおよぼすものもふくまれている」から

ムダな成分を体に取り込むだけでなく、体に負担をかける、むしろ有害な成分もバッチリ入っているのがこれらの商品の特徴です。

具体的な成分を3つご紹介しましょう。

1.無水カフェイン

もう一度「図表1」をごらんください。

目につくのは「無水カフェイン」。これは表で取り上げたすべての商品に入っています。

ご存じのようにカフェインには覚醒作用があります。鼻汁対応の成分である抗ヒスタミン薬の眠気防止目的にふくまれているようですが、「薬を飲んだ後のシャキッと感」を演出し、カゼが治っていないのに動けてしまう(=無理をさせる)原因にもなりかねません。

ちなみに「栄養ドリンク剤を飲んで気合で出勤」を論外だといいましたが、その大きな理由がこの無水カフェインです。栄養ドリンク剤にも、これらがほぼ例外なくふくまれているからです。

薬局の棚の前で、薬の箱に描かれた文字を読んでいる男性
写真=iStock.com/Cecilie_Arcurs
※写真はイメージです
2.ジヒドロコデイン

「咳止め」担当の「ジヒドロコデイン」も要注意成分です。これは濫用リスクが高い麻薬性咳嗽がいそう中枢抑制薬であるからです。

咳止めは効かないし、そもそも咳を止めてはいけない、という記事は前にも書きましたのでご興味のある方はご参照いただきたいのですが、それ以前に、これは現在若者のあいだで急増している「オーバードーズ(OD)」問題で、厚生労働省が販売制限をかける事態にまで発展しているもっとも注意すべき成分です。

過去記事「病院でもらう咳止め薬よりも断然効果が高い…医師の間では常識『ひどい咳がラクになるスーパーで買える食材』
過去記事「咳は我慢せず、むしろ出したほうがいい…現役医師が市販の『咳止め薬』を勧めない理由