「尻餅」が寝たきりの入り口になる
急性腰痛の中でも、高齢者が特に注意すべきは、背骨(脊柱)の圧迫骨折による急性腰痛です。シニアは日常のちょっとした動作でも背中や腰の骨を骨折しやすいのです。最も警戒すべきNG行動は尻餅です。脊柱は頭から骨盤の間にある頸椎や胸椎、腰椎、仙骨など、26個の椎骨が連なって構成されています。
なかでも、骨盤底筋の起点となる尾骨には骨盤を支える役割が、その上の仙骨は体幹を安定させ、さらに上の腰椎には体重を支える役割があります。尻餅による骨折はこの3つに生じやすく、骨折すると神経が圧迫され、つらい腰痛を引き起こすのです。
日常の少しの油断が危険と隣り合わせだと思ってください。例えば、玄関のたたきで靴を履いて立ち上がろうとしてうまくいかず、そのまま尻餅をついただけでも骨折するケースがあります。就寝中にトイレに起きようとしてバランスを崩し、布団の上で尻餅をついた場合でも、腰椎や仙骨を圧迫骨折することがあります。
たとえ柔らかい座布団の上であっても、圧迫骨折する場合がありますが、それは高齢者、特に女性は骨粗鬆症などで、背骨や腰の骨が脆くなっているからです。ある日、急に腰が痛くなってレントゲンを撮ったら、実は圧迫骨折による腰痛だと判明するケースが多い。
とりわけ深刻なのが、腰椎の圧迫骨折による腰痛で、一度発症すると悪化するケースが多くなります。
歩行時に足がしびれたら要注意
高齢者が腰椎を骨折してしまうと、完治する治療法はありません。一度腰椎を折ると、次に転んだ時も骨折しやすくなる“骨折ドミノ現象”が起こります。骨折で安静を強いられているうちに筋肉が落ちてフレイルに陥ったり、骨折が治っても背骨が曲がってしまい、姿勢が悪くなって腰痛がさらに悪化することも少なくありません。
急な腰の痛みを感じたら、シニアは迷わず、整形外科でレントゲンを撮るべきでしょう。高齢者は、脊椎の圧迫によって起こる脊柱管狭窄症を放置してはいけません。
慢性腰痛の中でも注意すべきは脊柱管が狭くなることで神経が圧迫される脊柱管狭窄症です。腰の椎間板という軟骨は加齢によって変形するため、高齢者が罹患しやすいのです。強烈な痛みはないものの慢性的な痛みが続き、歩行時にお尻や脚に痛みやしびれを感じやすい。
進行すると、脚の筋肉が痙攣して歩けなくなったり、排尿や排便に障害が出るので、QOLが著しく害されます。放っておくと、坐骨神経痛の併発も頻発します。脚にしびれやもつれを感じ、腰が慢性的に痛い場合、脊柱管狭窄症と坐骨神経痛を併発している疑いがあるので整形外科を受診してください。

