食事や飲み物は好きなものでいい
では、風邪のときの食事はどうしたらいいでしょうか。特に食べなければならないものはありません。子どもは食欲がないときに無理をして食べると気分が悪くなることが多いので、少しよくなるまでだけは好きなものを食べさせるのがいいかもしれません。
乳幼児で「母乳やミルクなら飲むけれど、食べない」というのはよくあることです。「せっかく離乳食が進んでいたのに」と残念に思うかもしれませんが、頑張って食事をさせたら早く治るというわけではないので、無理をさせないようにしましょう。
お粥やうどんなどの消化によい食事が好きなら与え、そういったものが嫌いだったら普段から食べ慣れている好きな料理でかまいません。日本では昔から体調が悪いときにはお粥を与えることが多いですが、海外では胃腸炎のときに「BRAT」といってバナナ、米、アップルソース、トースト、お茶がすすめられていたようです。現在はどれも食べなくてはいけないものではなく、通常の食事でいいとされています(※2)。
同様に飲み物もなんでもかまいません。嘔吐や下痢がひどく脱水が心配な場合は、水分と糖分と塩分が一度に摂れる「経口補水液」がいいでしょう。ただ、よく誤解されるのですが、経口補水液やスポーツ飲料は栄養満点なわけではないので、風邪のときに必ずしも必要ではありません。
汗をかいても熱は早く下がらない
風邪を治すために、生活上でできることはあるでしょうか。
たまに診察室で聞かれるのは、「体を温めてたくさん汗をかくと早く治りますか?」という質問です。じつは私自身が子ども時代、祖母や母から「たくさん汗をかいたら熱が下がって風邪が治る」といわれてきました。でも、そうではないでしょう。
私たちの体はウイルスや細菌などの病原微生物に侵入されると、それらと戦うために有利になるので体温を上げます。これが風邪をひくと発熱する理由です。そして病原微生物に打ち勝つと、体温を下げるために汗が出ます。つまり、風邪が治ったら汗が出るのであって、汗が出たら風邪が治るわけではありません。熱中症や脱水にならないよう、風邪をひいた子どもにとって心地良い室温や服装にしてあげましょう。
また、たまに「入浴を控えるべきでしょうか?」とも聞かれますが、日本では浴槽に浸かることが多いため体力を使います。ぐったりしていたら、数日くらいお風呂に入らなくてもいいでしょう。風邪をひいていても、元気なら入ってかまいません。
それから「たくさん寝たほうが早くよくなりますか?」と聞かれることもあります。でも、大人でも子どもでも1日中は眠れないでしょう。特に子どもは睡眠を取らせたいのに眠らない、横にもならないということがよくあります。家の中で静かに遊ばせ、疲れたりつらくなったりしたらすぐに横になれるようにしましょう。
