ビタミンの風邪への効果は小さい
風邪には、民間療法などでもいろいろな説がありますね。診察室で、風邪のときはビタミンをたくさん摂るほうがいいかを聞かれることがあります。でも、普通の食事を摂っていれば、ビタミンが欠乏することはありません。特にビタミンが欠乏していないのに飲み薬やサプリメント、点滴などで投与しても、より健康になることはなく、ビタミンの種類によっては過剰症の心配もあります。
「でも、私はビタミンCが効いた」と言う人もいるかもしれません。風邪は数日から1週間で自然に治るので、一番つらい時期にビタミンCを摂ると、その後に「効いてきた」と感じることがあるでしょう。実際のメタ解析では、風邪の期間を半日〜1日未満短くする可能性があるという報告があります(※1)。このメタ解析では、数日にわたってビタミンCを1日200mg以上(論文によっては1g)を摂った場合を評価していますが、重症度の改善が一貫して示されたわけではなく、効果が低いといえます。
ですから、風邪で具合が悪いときに頑張ってビタミンCの多い食品やサプリメントを摂るよりも、ゆっくり休んだほうがいいと思います。もちろん、冬から春にかけてはリンゴやミカン、イチゴ、キウイなどが旬でたくさん出まわるので、好きな人は食べましょう。
※1 Vitamin C for preventing and treating the common cold - PubMed
子どもに「ニンニク注射」はダメ
「いわゆるニンニク注射でラクになった」という人もいるかもしれません。ニンニク注射には、実際にニンニクが入っているわけではなく、ビタミンB1やその吸収と持続性を高めたフルスルチアミン、アリナミンFが主成分。医療機関によっては、ビタミンB2、B6、B12、ビタミンC、グルタチオンを組み合わせることもあるようです。
成人が自費診療としてニンニク注射を受けるのは、強い疲労感やだるさ、過労、ストレスを強く感じているとき、風邪を引き始めたときに、ビタミンB1の糖質代謝や神経・筋のエネルギー産生を助ける働きに期待するからのようです。風邪のウイルスへの効果は証明されていませんが、ニンニク注射はビタミンB1の欠乏症があったら効果があり、水溶性ビタミンなので過剰症の心配はないでしょう。
でも、小児にはすすめられません。日本において普通に食事をしていたら、ビタミンB1欠乏症にはなりません。極端な偏食や重度の栄養障害、慢性疾患で栄養がバランスよく摂れないときには保険診療で補充しましょう。そして、注射は痛い、怖いというイメージがあり、子どもが自ら進んで受けることはないでしょう。必要性の低い介入は、小児では避けるべきです。

