“Great question!”がなければ次がない

たとえば、若きトランプの生き方を描いた映画『アプレンティス』で、不動産屋の息子であるトランプが、何とか高級クラブに入り込み、飲めない酒を飲み、悪名高い弁護士でのちにトランプに冷酷な処世術を教えることになるロイ・コーンに近づこうとするシーンが描かれていた。まさに、トランプですらコネをつくるのに必死だったのだ。

大野和基『世界基準の「質問力」』(祥伝社)
大野和基『世界基準の「質問力」』(祥伝社)

結局のところ、アメリカであれ、日本であれ、本当にカネになる情報や仲間をもたらしてくれるのは、人とのつながりしかない。

だから私は、“Great question!”と相手が口走ってしまうような、クリティカルな質問を繰り出そうと日夜、頭を絞っているのだ。いや、極端な話をすれば“Great question!”がなければ次がないとすら考えている。

相手の脳裏に自分の姿を焼きつける武器が、そうしたいい質問なのだ。私はジャーナリストなので、それしか武器がないと言ってもいいかもしれない。

冒頭の話に戻れば、だからこそいい質問は、1対1のときにとっておくのである。そうしていい質問という武器で、人の輪を広げていく。そうすると、また新たな情報に出会える。

たとえば、私は経済学者のポール・クルーグマンと非常に親しく付き合っている。一方で、私もインタビューをしたことがある、やはりアメリカの著名経済学者で、ハーバード大学経済学部の教授のケネス・ロゴフには、そのことは絶対に言わない。

なぜなら、ケネス・ロゴフはポール・クルーグマンのことを心底嫌っているからだ。クルーグマンと対談中に大ゲンカをしたことすらある。

絶妙なタイミングで、相手を惹きつける言葉を

だから、私は取材中、クルーグマンの「ク」の字も触れない。なぜなら、ケネス・ロゴフとの今後のつながりを保つこともまた、非常に大事だからだ。

会社員だろうとフリーランサーだろうと、人とつながる、そしてその輪を広げていかないと、この先ますます生きていくのが難しくなるのではないか。

ただし、どんな人にも、たったひとつだけ強い武器がある。それはすなわち、英語で言う“right time, right place”、すなわち絶妙なタイミングで、相手を惹きつける言葉を投げかけることだ。

そのチャンスがいつ来るかわからないからこそ、平時でも「質問力」を磨くよう意識することが、とても大事なのである。

CONCLUSION
「いい質問」だけが、
誰も傷つけない武器になる
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