無党派層をも失望させた「消費減税」
②「政権の選択肢」の気概はどこへ
もう一つの問題は、このことがコア支持層のみならず、立憲に「自民党に代わる責任政党」としての役割をぼんやりと期待していた、ゆるい支持層や無党派層の失望も招いたことだ。
立憲の議員に直接声が届く「目に見える支持者」の間では、消費減税を求める声は、確かに大きかったのだろう。しかし、消費減税に慎重な考えを持つ層は、国民の中に少なからずいる。
今回の衆院選における読売新聞の出口調査で、物価高対策としての消費税に関する考えを尋ねたところ「いまの税率を維持すべきだ」と答えた人が25%いたという。「食料品などに限定して税率を引き下げるべきだ」(32%)、「廃止すべきだ」(13%)を合わせた数と比べれば少ないかもしれないが、4人に1人が「税率維持」というのは、結構なボリュームではないだろうか。
安易な減税や1回限りの給付金といった「おかしな積極財政」に対し「国の財政は持つのか」と不安を抱く層の思いを、誰かが受け止めなければならない。その役割は「支え合う社会」を掲げる立憲こそが、たとえ苦しくても引き受けるべきだった。
今回の衆院選で、立憲と公明党が合流した中道が打ち出した基本政策は「食料品の消費税を恒久的にゼロ」。立憲の参院選公約より踏み込んでいて、さすがに頭を抱えてしまった。
長く与党にいた公明党は、昨夏の参院選でも「物価高対策のために一時的に税率を下げることは適切ではない」と訴えていた。政権の選択肢を目指すなら、立憲はエネルギー政策でも安保法改正でもなく、この点こそ「与党・公明党」の立ち位置に寄せるべきではなかったか。
消費減税反対の「チームみらい」が躍進
選挙戦では高市早苗首相(自認党総裁)までが「食料品消費税ゼロ」に言及し、与野党ともに「消費減税一色」となった。それだけ目の前の物価高が厳しい、ということだろうが、これでは経済政策で、与野党の対立軸は作れない。だいたい、いくら有権者に減税派が多かったとしても、多くの政党がパイを取り合えば、そもそも選挙対策にならない。
結果として、唯一消費減税を掲げなかったチームみらいが、今回議席を伸ばした。同党の躍進は、ここ数年選挙のたびに躍進する政党が移り変わる「政党ザッピング」の結果かもしれないが、消費減税に賛成できない有権者の一定の受け皿となった可能性もあるのではないか。
高市首相が消費減税に飛びついたのなら、立憲は選挙戦でその訴えをフェードアウトさせ、自民党と対立構造を作りやすい「円安を止める」などにシフトすべきだったのではないか。高市首相の「円安ホクホク」発言の直後に一斉に切り替えるなど、方法はあったはずだ。

