「消費減税」という劇薬
今回中道が公約の一つとして掲げた消費減税は、この「立憲が目指す社会像」と、ほぼ真逆であった。
一般的に減税とは、国民から徴収する税金の額、つまり国の税収を減らし、公共サービスの切り捨てを図る「自己責任社会」志向の政策だ。多くの左派政党が低所得者対策の観点から消費減税をうたうが、消費減税でより多くの恩恵を受けるのは、多額の消費を行う富裕層である。低所得者は減税によって、財布から出て行くお金は一時的に減るかもしれないが、その分公共サービスの自己負担が増え、長い目で見れば格差は拡大する。
消費税の税率を変えず、富裕層から多額の税を徴収し、それを財源に公共サービスを充実させて低所得者に再分配する方が、立憲が目指してきた「支え合いの社会」に合致する。
「減税=低所得者対策」のイメージが染みついた社会で、有権者に理解してもらうのは至難の業だが、政権を担おうとする政党が、いつまでもそこから逃げていいわけがない。2024年に3代目代表となった野田佳彦氏は、就任直後に行われた衆院選で消費減税を掲げずに戦い、50議席増(148議席)の躍進を果たした。
消費減税が招いたコア支持層離れ
ところが、昨夏の参院選を控えた頃から、党内に消費減税の公約化を求める声がわらわらと出てきた。野田氏ら執行部が手をこまねくうちに、その声は無視できないほど大きくなり、この党としては初めての党内政局の空気すら漂い始めた。野田氏は党内きっての減税慎重派だったにもかかわらず、消費減税の公約化へと方針転換を迫られた。
苦渋の決断だったことは理解する。だが、もしかしたら野田氏はこの時、消費減税の公約化を「党内融和の一環」程度に考えていたのではないか。
財政規律以前に、消費減税をうたうことは立憲にとって「私たちはどんな理念を掲げてこの党に集っているのか」という、党の根本を毀損する行為だ。そのことを野田執行部も、減税派議員たちも、十分に理解していたとは思えない。結果としてこのことは、党の理念に共感していたコアな支持層の熱量を、大きく損なうことにつながった。

