過去には定型句で終わらせなかったことも
日本政府も、過去には定型句の抗議だけで終わらせなかったこともある。
2013年1月30日に起きた中国海軍艦艇による海自艦艇への火器管制レーダー照射事件では、小野寺五典防衛相(当時)が2月5日に臨時会見を開き、事案の発生と詳細を公表。会見を通じて、現状の緊張状態が続けば深刻な事態に発展しうることを共有し、中国には自制を強く求めた。
2月7日にはワシントン市内で日米両政府が外務・防衛担当の審議官級協議を開き、意見交換を実施。中国側の行動について「アジア太平洋地域の緊張を高めかねない」との懸念を共有し、緊密に連携していくことを確認した。
その5年後、2018年12月20日には、今度は韓国海軍艦艇による海自哨戒機への火器管制レーダー照射事件が発生。この際には「極めて危険な行為」と批判し、証拠として当時の映像や音声を公開するなど、異例とも言える対応をとる。
翌年には、事態の検証に関して韓国側に対し「相互主義に基づく客観的かつ中立的な事実認定に応じる姿勢が見られない」「本件事案に関する協議を韓国側と続けていくことはもはや困難」と非難の色が濃い最終見解を発表。この一件以降、両国間の安全保障協力は中断され、復活には2024年の日韓防衛相会談まで時を要した。
米英豪に事態を共有して連携をアピール
まだ記憶に新しいところとしては、2025年12月6日に発生した中国海軍戦闘機による空自戦闘機への火器管制レーダー照射事件がある。
この際、小泉進次郎防衛相は事件翌日の午前2時過ぎに防衛省で臨時の記者会見を実施。事実を迅速に公表し、「今回のレーダー照射は、航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為だ」と非難した。そして「極めて遺憾であり、中国側には強く抗議し、再発防止を厳重に申し入れ」たと述べている。
さらに小泉防衛相は事件直後にオーストラリアのマールズ国防相と会談し、12日にはアメリカのヘグセス国防長官と電話協議、17日にはイギリスのヒーリー国防相ともオンライン協議を行った。
このとき日本は明確に「中国側は一線を越えた」と判断した。だからこそ抗議し、再発防止を求めるだけに留まらず、同盟国との連携もアピールしたのである。火器管制レーダーの照射は攻撃準備行為そのものだったからだ。
ここでいつも通り「遺憾」のみで抗議していたら、「日本はこれが攻撃準備行為かどうか判断しかねている」という誤ったメッセージを国際社会に発することになっただろう。
中国は日本側の発表について「事実と異なり、すぐに中傷をやめるよう求める」と強く反発した。だがアメリカは「中国の行動は地域の平和と安定に寄与しない」と批判した上で、「日米同盟はこれまで以上に強固で結束している」と強調。日本の反応を支持する立場を明確にした。
