睡眠とも密接に関係している

また、生活リズムとの関連も指摘されています。生活リズムの乱れは免疫バランスの破綻を招きやすく、その結果、アレルギー反応が過剰に生じ、症状が悪化しやすくなる可能性があるとされていますCheng et al., 2022

さらに、睡眠は花粉症の症状と密接に関係しており、相互に影響し合う「悪循環」を形成する可能性が示されています。ある調査では、アレルギー性鼻炎患者の約66%が睡眠に何らかの問題を抱えていると報告されていますRomano et al., 2019。加えて、鼻閉を伴う場合には、中等症以上の睡眠呼吸障害を発症するリスクが約1.8倍に高まることも示されていますYoung et al., 1997

睡眠の質の低下は、日中の眠気や集中力の低下、作業効率の低下を招き、花粉症による生活の質や仕事のパフォーマンスへの影響をさらに大きくする要因となります。

眠そうなビジネスパーソン
写真=iStock.com/PonyWang
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これらの知見から、花粉症対策は単に「花粉を避ける」ことだけでは不十分であることがわかります。花粉曝露を減らす工夫に加え、粘膜の炎症状態を悪化させない生活環境の整備や、十分な睡眠によって免疫バランスを保つことも、重要な対策の一つといえるでしょう。

症状が軽くても集中力や判断力が低下

近年、「プレゼンティーイズム」という概念が注目されています。これは、出勤はしているものの、何らかの健康問題によって本来のパフォーマンスを十分に発揮できていない状態を指します。花粉症は、このプレゼンティーイズムを引き起こす代表的な要因の一つです。

国内の最新調査によると、花粉症有訴者のうち46.4%がプレゼンティーズムを経験しており、症状が重いほど労働生産性の低下が顕著であることが示されています厚生労働科学研究班.2025。この影響は、単に「鼻水やくしゃみによって作業が中断される」といった表面的な問題にとどまりません。花粉症では、アレルギー反応に伴う全身的な影響が、仕事のパフォーマンス低下に関与していると考えられています。

アレルギー反応が起こると、体内では炎症性メディエイターと呼ばれる免疫物質が放出されます。これらは鼻や目といった局所症状だけでなく、脳の覚醒レベルや認知機能にも影響を及ぼす可能性がありますBender. 2005。さらに、鼻閉による慢性的な酸素摂取の低下や睡眠の質の悪化が重なることで、症状が軽度であっても、集中力や判断力の低下が生じやすくなりますKent and Soose. 2014