ムードメーターを使った訓練
たとえば、よく使われる「やばい」という気持ちはどのゾーンに入るでしょうか。人によって、また状況によって、同じ言葉でも、異なった気持ちのゾーンで使っていることに気づくはずです。SNSでのコミュニケーションで、このことによる誤解が、しばしばトラブルのもとになります。
また、子どもたちは常に、右上のゾーンの気持ちでいることが好ましいように、大人からのプレッシャーを受けているようにも感じます。朝から寝るまで、元気のよい子どもでいなければならない、という状況です。もっと右下のゾーンの状態を確保して、リラックスして気力を充電する時間や居場所を与えてあげることが必要なようにも思います。
さらに、感情教育は個人の心のケアにとどまらず、「健やかな学校風土(school climate)」をつくる基盤にもなるという視点から、教育現場全体での組織的な取り組みの必要性が訴えられています。
こうした実践と研究は、OECDが提唱する理念とも響き合いながら、日本の教育政策や教員養成の現場にも影響を与え始めています。
これまで“情緒”や“性格”とされてきた領域に、科学的な根拠と教育的手法を持ち込むことで、「感情を育てる」ことは不確かなものではなく、誰もが取り組める具体的な教育のテーマになってきたのです。
「感情リテラシーを育てることは、自己理解と他者理解を支え、子どもがよりよく生きる力を育むことにつながる」というメッセージは、今まさに多くの現場で求められつつある指針となっています。


