「靴下に穴があいてるよ」と言われたら

これは、映画としての表現ですから、後からさまざまに自由に解釈すればよいのでしょうが、日常生活で、「あ、靴下に穴があいてるよ!」と不意に、誰かから言われたら、あなたはどう感じるでしょう? また、どう反応するでしょう。

穴が開いた靴下
写真=iStock.com/Octavian Lazar
※写真はイメージです

「あ、どうしよう、困った」
「えー、恥ずかしい」
「ショックー」
「あー、やっちゃった」
「やばい!」

さまざまなリアクションが想像できます。

どんなリアクションでも、とにかく言葉にできる人は、とりあえずは間を埋めて、パニックにはならないでしょう。

「大丈夫だよ」
「貸してあげようか」
「見えないようにこう折り返せば」

とか何とか、状況にはよりますが、コミュニケーションは続きます。不本意にも大きな声で指摘してしまった方も、ある程度優しい人柄であれば、「大きな声で言っちゃってごめん!」とか「こうしてみる?」などと言葉をつないで、あるある場面として過ぎ去っていくものです。

その場に、ギャグのセンスがある人がいれば、失敗をユーモアで包み込むことで、空気が一気にやわらぐこともあります。

「お、その穴もっと広げてファッションにしちゃおうか」
「そこから世界が見えるで!」

気まずい瞬間が苦手な子どもたち

そんなひと言が飛び出せば、誰かの失敗も、誰かの恥ずかしさも、「ひどいことを言われた・言ってしまった」という重たい空気に変わることなく、笑いとともに受け流すことができます。場が救われる瞬間です。

……とはいえ、これは私が関西育ちだからかもしれません。こういう“ちょっとした失敗”は、ある意味、日常の風景。だからこそ、「恥ずかしい」と感じるより先に、「自分をちょっと落として場を回す」術のようなものが、自然と身についているのかもしれません。

でも実際には、こうした気まずい“瞬間”が大の苦手、という人も少なくないのです。

そこで、このスキルが未熟な高校生たちと、「ふいに恥ずかしい指摘をされたとき、自分をどう守るか」というテーマで授業を行なったわけです。

授業では、まず先生が、「生活の中で誰にでも、困った場面に遭遇することがあるよね」という話からスタートします。そして、「こういうとき、何も言えなくて固まってしまって、あとでまた落ち込んじゃって……ってこと、ない?」と、自己嫌悪につながるパターンを紹介しながら、「今日は、そんなときにどう行動すればいいか、みんなで一緒に考えてみよう」と問いかけました。