過剰な活動がもたらす「質の劣化」
次の「読書が他の活動の時間を奪う」は、すでに述べた「読書する時間が長い人ほど、勉強時間も長い傾向がある」と矛盾するように感じるかもしれません。しかしそれはあくまでも、全体的傾向としてそうだ、ということであり、日に読書時間が2時間以上にもなる人は、他の活動への影響が出ないとは思えません。
ちなみに、2025年度全国学力テストの中学3年生において、「2時間以上」の人は全体の3.6%です。
図表2のように、中学3年生においては逆U字効果が起きており、「2時間以上」の人は「10分以上、30分より少ない」の人よりも学力を下げていますが、このうちの一部は読書のしすぎによる勉強時間の減少、さらには読書による疲労が勉強の集中力を下げたことによって起こっているのかもしれません。
最後は読書活動の「質」の低さです。
例えば、
・すでに何回も読んでいたり、自分にとって簡単すぎてもう学ぶところがない本ばかりを長時間読んでいる
・長時間の読書が疲労や飽きを生み、読書活動そのものに集中できていない
といったことが考えられます。
ダラダラ読むなら遊んだ方が有益な時間になる
この要因は直接的には読書によるマイナス効果を説明するものではありません。しかし、読書のプラス効果の低下にはつながります。プラス効果が大きいうちは、疲労などによるマイナス効果が生じていたとしても、それを打ち消して、トータルではプラスの読書効果となりえます。
しかしプラス効果が小さくなれば、マイナス効果を相殺できず、結果としてトータルでのマイナス効果……すなわち、逆U字効果が生じます。
スモールインプット現象を説明する際に、「たとえ、一日の読書時間が30分であったとしても、そこから何らかの知識の更新が生まれれば、残りの23時間30分の生活の中で見えてくるものが変わる」と書きました。実はここで前提としていたのは、「知識の更新が生じる」という一定以上の「読書の質の高さ」でした。
同じ本や簡単すぎる本ばかり読む、あるいは、集中せずにダラダラと読む……というよりも、本を開いているだけ、という状態になってしまう……。こうした質の低い読書を長時間続けるくらいなら、読書は短時間で切り上げて、他の活動(勉強や遊び)をしたほうが、その子どもにとっては有益な時間になるでしょう。
あるいは、長時間の読書が、イコール、質の低い読書、となってしまわないように気をつけることがとても大切だということになります。



