“やりすぎ”はかえって学力を下げる
逆U字現象で謎なのは、読書時間が長くなると学力などのスコアにマイナスの効果が出ることです。特性・環境の観点からいえば、読書時間が長すぎる人々は、最適な読書時間の人々よりも、スコアを下げる特性や豊かでない環境を持っているということになります。
そんなことがありうるのか?……という気もしますが、「長すぎる」ということであれば、ありえなくもありません。まず、長すぎる読書時間の回答そのものを疑って、
・自分に厳しい性格の人が、本当に集中して読んでいた時間だけを「読書時間」として短めに申告するのに対し、自分に対して甘い性格の人が、本を開いて別のことをしている時間までも読書時間に含めて長めに申告する、あるいは、ウソの回答をしている
ことが考えられます。これは読書活動を質問項目で測定することに伴う測定精度の低さ、という問題ですね。
次に、特性として、
・新しい本を読みたがらず、同じ本ばかりをいつまでも長時間読み続ける傾向
などが考えられます。
新しい内容を読むことは疲れます。しかし、同じ本であれば疲労は少なく、そのために長時間読書が可能になっているという解釈です。あるいは、同じ内容ばかりを繰り返し頭に刷り込むことは、固定観念の強化となり、マイナス効果となる場合があるかもしれません。
さらには、あまり新しい本を読みたがらないという知的好奇心の低さが、勉強を好まない性質につながって、学力を下げていることなどが考えられます。
悪い親子関係が招く“勉強の質の低下”
環境からは、
・親子関係や友人関係がうまくいっておらず、1人で限られた本を読む以外に時間つぶしがないため、長時間の読書となっている
といったケースが考えられます。親子関係や友人関係がうまくいっていないと、勉強どころではなく、勉強に集中できない、というのは十分にありえることでしょう。この場合、もちろん精神的問題も生じやすくなります。
活動(この場合は、長期的な活動をイメージしてください)としては、
・長時間の読書が大きな疲労になっている
・あまりにも長時間の読書が、他の有益な活動をする時間を奪っている
・読書活動の「質」が低く、プラス効果が期待できない
といったものが考えられます。
最初の「疲労」は、意外と見過ごされやすい要因なのではないでしょうか。読書は疲れる活動なのです。
短時間の読書なら楽しめても、それを長時間続ければ、いずれつらくなるでしょう。何を読むかにもよります。軽く読める物語なのか、ほとんど勉強に近い、重い説明文を読むのかによって、疲労度は異なります。日々の生活に余裕があって、そうした疲労を「心地よい疲労」としてゆったり癒せる人もいれば、長時間の勉強や仕事の隙間に必死に読んでいる人もいるかもしれません。
疲労が癒やせなければ、勉強や仕事に集中できなくなって、結果としてそれらの効率は落ちてしまいます。

