バイトも続かない詩人との同棲生活

その人たちと一緒にフィレンツェで一番高級なレストランで食事をしたあと、家に帰るとガスも水道も電気も未払いで止められている。わけがわかりませんでした。貧乏必至の画家をめざしている自分がばかばかしくもあり、半面、なんとしても金に魂を売るものか、という意固地さでいっぱいでした。

そのころ、私は自称詩人の彼氏ができて同棲をしていました。詩人と絵描きの二人ですから経済生産性はゼロです。どちらもお金を稼げるあてがない。しかもこの詩人は、どんなアルバイトを試みても、どうして詩人である自分がこんな場所でこんなことをしなきゃいけないのかという自己葛藤に見舞われて、すぐにやめてしまうんです。

つきあい始めのころは、そういう特異な彼の性質も「おもしろい人だな」と思えていましたが、だんだんそんな寛大な気持ちは失せていきました。ただただ金を稼げない詩人に腹が立ってくるのです。私がガイドで稼いだお金でなんとか二人食いつないでいました。