一番効率のよい投資は「働くこと」
僕が社会人になった時代の日本は高度経済成長期だったこともあって、若い人が経済的な不安を抱くことはほとんどありませんでした。
ふつうに会社で働いていれば、誰でも自分の家を持ち、子どもを大学に行かせ、老後は年金をもらって悠々自適の暮らしができると信じていた時代です。給料はどんどん上がりましたし、銀行に預けておけば、けっこうな利子がつきました。
でも、いまは違います。そもそも安い給料はなかなか上がらず、将来の年金もどれだけもらえるのかよくわかりません。
また、銀行預金の金利は無いに等しいほど低いので、お金を増やしたければ、リスクを負って投資をするのが当たり前とされるようにもなりました。
お金のことを、それこそ「自己責任」で考えなければいけない――あなたも、そんなプレッシャーを感じているのではないでしょうか。
そこで僕から、いちばん確実で効率がよく、しかも簡単な投資法をお教えしましょう。株式や債券や不動産を買うわけではありません。それは「働くこと」です。
株式投資や不動産投資は、自分の貯めたお金が減るリスクを負って出資しなければいけません。でも、労働は違います。提供するのは、自分の時間と身体と頭だけ。それによって、ほぼ間違いなく収入が得られます。
会社が倒産でもすれば給料が不払いになることもあるでしょうが、それでも貯金が減るわけではありません。次の仕事を見つければ、また収入を得られます。じつにローリスクでハイリターンな投資です。
明日の食い扶持は、今日稼げばいい
仮に年金がほとんどもらえないような事態になったとしても、働いてさえいれば生活は成り立ちます。
「お金の不安」は、突き詰めれば大部分が「老後の不安」だと思いますが、死ぬまで働くつもりでいれば、そんなに心配することはありません。明日の食い扶持は、今日稼げばいいのです。
会社には昔から定年制度があるので、年を取ったら仕事はやめるものだという固定観念を持っている人も多いでしょう。でも農家のみなさんのことを考えれば誰でもわかるとおり、定年制度が関係ない職業はいくらでもあります。
そもそも、動物に定年なんかありません。みんな、死ぬまで今日の食べ物を得るために一所懸命に働いています。人間も動物なのですから、そうやって生きていくことに何の不思議もありません。
しかも日本という国は、世界の中でもいちばん労働環境に恵まれています。少子高齢化が進んだため、高齢者が仕事をやめてしまうと、労働力が足りません。定年制度を廃止するぐらいにしないと、社会そのものがもたないのです。
とくに地方の人手不足はきわめて深刻です。僕はAPUの学長だったとき大分県の別府市で暮らしていたので、それがよくわかりました。地元の財界人などは、みなさん「どんな人でもいいから働きに来てほしい」といいます。
東京をはじめとする都市部は若年層の求人がほとんどかもしれませんが、地方には働き手の年齢層を選んでいる余裕などありません。頭と体が動けば、何歳になっても仕事はあるのです。

