3連覇だけでなく、8位入賞も逃した佐久長聖
なぜ、走っているだけの「駅伝」に人々は引き寄せられるのか。駅伝は選手なしに成立しない。だが、どの区間に誰をエントリーし、レース全体としてどんな筋書きを描いて、頂点を目指すのか、という監督のプランやマネジメントのあり方も極めて重要な見どころだ。
その意味で、昨年末に行われた全国高校駅伝は大変興味深い内容となった。この大会で2連覇中だった佐久長聖(長野)は3連覇を狙ったが、大失敗した。
いくら練習で調子がよくても、本番でブレーキがかかる選手は少なくない。だから、監督の選手起用があたるかどうかは常に未知数で、区間エントリー決定までの選手マネジメントや展開の読みは複雑さを極める。
今大会、最長1区(10km)は超高速レースとなり、酒井崇史(3年)が中盤で苦しくなる。日本人最高記録を塗り替える28分20秒で突っ走った学法石川(福島県)の増子陽太(3年)に1分27秒の大差をつけられて19位と出遅れた。
その後も思うように順位を上げることができない。8位でタスキを受けたアンカーの林和輝(3年)は“入賞(8位以内)争い”に敗れ、前回王者は10位でレースを終えた。
3連覇を逃しただけでなく、12年も継続していた「5位以内」を確保できず、「入賞」にも届かなかった。高見澤勝監督にとっては就任2年目以来の“惨敗”といえる結果だった。
「入賞できなくてよかった」
1区の主将・酒井が大号泣するなど、選手たちはレース後に泣き崩れた。そのなかで高見澤監督はどんな声をかけたのだろうか。
「12年間、5位以内をキープしてからの10位なので、ショックは小さくありませんでした。この結果に関して、私自身は重く受け止めています。選手たちには、『悔しいけど、これが今年度のチームの現実です。3年生は大学に入ってから、1、2年生は来年の糧になるように、この結果を次のステップにしよう』という話をしました。この悔しい思いが心に残っていれば、苦しいときに粘れて、奮起できますから」
指揮官自ら必死に敗北を正面から受け止めようとしている様子が伝わってきた。だが、その後、選手を突き放すようなちょっと意外な言葉が飛び出した。
「ただ、落ち着いて考えると、私は逆に入賞できなくてよかったかなと思っています。正直、今年度のチームで入賞してしまうと、私自身も含めて、子供たちは勘違いしちゃうんじゃないかな、と。入賞できなかったことによって、『変わる』きっかけになる。先を見据えて、そう感じています」

