「次世代革新炉=安全」というミスリード

福島第1原発事故から15年――。

新潟県にある東京電力の柏崎刈羽原発6号機が再稼働した。その直後に制御棒の関連機器に不具合が生じて停止し、不安は高まるばかりだ。

当初、2月26日に予定していた営業運転の開始は延期を余儀なくされたものの、トラブルの原因が究明されれば運転を再開する方針だ。

また昨年末には、北海道電力の泊原発の再稼働について地元知事が容認を表明している。

高市早苗首相は「エネルギー自給率100%を目指す」ことを掲げ、原発を重視する政策を打ち出しているだけに追い風となった格好だ。

柏崎刈羽原子力発電所。新潟県柏崎市荒浜より北方向を撮影
柏崎刈羽原子力発電所。新潟県柏崎市荒浜より北方向を撮影(写真=Triglav/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons

原発再稼働の推進はもとより、高市氏が前のめりになっているのが、「次世代革新炉」と呼ばれる新しい原発の導入である。

25年7月、関西電力が美浜原発(福井県美浜町)の敷地内に原発を新設することを発表したが、これは次世代革新炉への建て替え(リプレース)を想定したものだ。

経済産業省や大手電力会社は次世代革新炉について、従来の原発よりも「安全性が向上した」と強調する。

だが、脱原発を目指すNPO法人「原子力資料情報室」共同代表で、国の有識者審議会「原子力小委員会」メンバーの松久保肇さんは「国民を欺き、ミスリードしかねない」と批判、原発の“安全神話”が再び喧伝されることを危惧する。

NPO法人「原子力資料情報室」共同代表で国の有識者審議会「原子力小委員会」メンバーの松久保肇さん
筆者撮影
NPO法人「原子力資料情報室」共同代表で国の有識者審議会「原子力小委員会」メンバーの松久保肇さん

松久保さんに次世代革新炉の実相と、大手電力が原発新設に踏み切った背景を解説してもらった。

原子炉は「現行品」と同じもの

次世代革新炉は、主に「革新軽水炉」「小型軽水炉(SMR)」「高温ガス炉」「高速炉」「核融合炉」の5種類が挙げられる。

現在、関西電力が建設を計画しているのは、革新軽水炉だ。

【図表】【参考】次世代革新炉の種類(各事業者による開発コンセプト)
経済産業省・資源エネルギー庁「次世代革新炉の現状と今後について」資料より

国内で稼働する原発は、すべて普通の水(軽水)を冷却剤に使う軽水炉だ。