自身が管理職の場合、どう評価すべきか
また、自身がマネジャーの場合は、評価プロセスを改善する努力をしよう。マネジャーはやり方しだいで自己評価をもっと効果的なものにできると、バトラーもグロートも思っている。バトラーがマネジャーに望むのは、部下により適した職務をつくれるよう、部下の動機や関心についてもっと質問することだ。「次の1年はどの分野で最も貢献できると思うか」とか、「自分の日々の仕事でどのようなプロジェクトや活動がもっと増えればいいと思うか」といった質問をすることを、彼は勧める。
グロートはプラスの面に焦点を当てるとよいと言う。たとえば、自己評価票に「優れた点」という項目を設けて、部下が自分の本当に誇りに思っていることを書き記せるようにしてもよいだろう。「そうすることで評価プロセスにきわめて適切な建設的視点を加えることができる」と、彼は言う。
真摯にやれば大きな効果が得られることも
ここで、査定レポートの作成に真摯に取り組んだら、上司も真摯に受け取ってくれたという具体例を1つ、紹介しよう。
ダリンはサンフランシスコの従業員所有の建設会社、ライアン・アソシエーツで、これまでに6回、査定の自己評価票に記入している。同社は「あなたの職責は何ですか。あなたは今年その職責以上のことをしましたか」というような少数の問いが記載された、標準的な書式を使っている。
ダリンは毎回、2時間から4時間かけて記入している。「私がこれを真摯に受け取っていることをマネジャーたちにわかってもらえるようにしてるわけだ」と、彼は言う。彼は自分の直属の上司(この会社の最高執行責任者)と最高財務責任者、それに人事部長が自分の自己評価票を見ることを知っており、彼らに向けて書いている。
「これは私にとって、自分のキャリアを成長させる手助けを求める年に1度の機会なんだ」と、ダリンは言う。彼は彼らがどのように手助けできるかを具体的に書いている。過去には、この機会を使って新しい職責や別のタイプのプロジェクトへの参加を要請したこともある。だが、彼は自分のパフォーマンスについても正直に記入している。
「自分にはある程度触れておく必要がある独特のクセがあることを自覚しているからね。たとえば、往々にして細かいことにこだわりすぎて全体が見えなくなる」と、彼は言う。
「私はそれを大げさに書きはしないが、自分が改善に取り組んでいるのがその点だということは認めるんだ」