▼田中和彦さんのメソッド
会議というと、無条件に1時間を確保する人が多いようです。しかし、本当に1時間も必要でしょうか。会議は連絡やアイデア出しなど、目的に応じて設計すべきであり、ふさわしい時間もそれによって変わります。
リクルート時代、新橋本社内と浜松町のビルにある部署を兼務していた時期がありました。2つのビルの移動時間は約10分。ただ歩くのはもったいないので、なるべく部下と一緒に移動して、面談の時間にあてていました。これは極端な例かもしれませんが、本当は短時間で済むのに、無駄に時間をかけている会議はほかにも多いはずです。
会議に限らず、仕事を進めるうえでは「目的」と「水準」をチーム内で揃えておくことが重要です。役員としてキネマ旬報社で働きだしてすぐ、韓流映画の本がヒットしたことがありました。当時は業績改善が急務であり、私は当然のように続編を出そうと思いました。しかしスタッフは志が高く、「うちは幅広く映画を紹介する社会的責務がある。次は韓国以外のアジア映画の特集を」と提案してきたのです。そこで全員で「今年は単年度黒字化を目指そう」と再確認し、続編の出版を納得してもらいました。「目的」と「水準」にブレがあると、よかれと思って取り組んだ仕事が空回りしてしまうこともあるので注意が必要です。
田中和彦(プラネットファイブ代表取締役)
1958年生まれ。一橋大学卒業後、リクルートに入社。人事課長、広報室課長、転職情報誌4誌の編集長を歴任。映画プロデューサー、キネマ旬報社代表取締役を経て、現在は人材コンサルタント、映画、出版のコンテンツプロデューサー。
1958年生まれ。一橋大学卒業後、リクルートに入社。人事課長、広報室課長、転職情報誌4誌の編集長を歴任。映画プロデューサー、キネマ旬報社代表取締役を経て、現在は人材コンサルタント、映画、出版のコンテンツプロデューサー。
(村上 敬=構成 澁谷高晴、的野路弘=撮影)