ここからは、今までの問題に対する処方箋です。真っ先に取り組むべきは無駄な会議をなくすことですが、会社でそのための工夫をしていないと答えた人が約3分の2を占める、というショッキングな結果が出ました(図18)。たかが会議というなかれ、そのための時間と経費は大変なものです。その削減に向けた努力をしていないとは、ビジネス界は少々、能天気だといわれても仕方ありません。
「会社が工夫をしている」と思っている人を年齢別に見ると(図19)、20歳から24歳の若い人の数値が高い。学生は、しがらみなどがないため、意外と合理的な会議を行っています。しかし、会社に入って会議に出席すると、会議の不合理な面が目につく。アメリカの心理学者、エドガー・シャインは、学校を卒業した若者が就職して仕事に就いたときに、予想外の事態に戸惑い、被るショックのことを「リアリティショック」と名づけました。無駄な会議こそ、リアリティショックを引き起こす典型なのかもしれません。しかし、年齢が上がるにつれ会社にも慣れる。そして、当初のリアリティショックが無くなってから始めて、自社の会議を冷静に見ることができるようになるのでしょう。
そして、何より憂慮すべきは、35歳から49歳の働き盛りの層が、会議が改善されていないと思っていることです。この意識は、何とかしなければ、という前向きの気持ちを枯渇させ、「仕方がない」「長いものには巻かれろ」という意識につながる可能性が高い。この層が仕事全般に対して無気力症候群にかかってしまうと、日本企業の将来は暗澹たるものにしかなりません。
また、現在工夫していることについては、制約を設ける、ツールの活用、事前準備の徹底、の3つにまとめられます(図20)。これを見ると、ファシリテーターという存在が重要であることがわかってきます。無駄な会議は極力やらないが、やるからには事前準備を徹底し、活発な意見が万遍なく出るように場をリードし、具体的で明確な結論が出るように議論を進行させ、会議で決まったことが確実に実行されるよう、責任者と実行期限を決める。こうした巧みなファシリテーションができる人がいれば会議をめぐる問題の多くは解決すると思います。さあ、あなたの出番がやってきたようです。