よい会議、悪い会議の定義が明らかになりましたが、そもそも人々が「会議でもっとも期待していること」は何なのでしょうか(図9、10)。回答結果によると、「目標を明確にして共有する」が35.1%とトップで、その後に「情報共有」(20.7%)、「情報交換」(9.8%)と続きます。
これを役職別に見ると違いが鮮明に表れました。部長クラス以上と一般社員クラスとでは、100を境目としてほぼ線対称のグラフとなり、中間に課長クラスと係長・主任クラスがきています。課長クラス以上は「目標の明確化と共有」を、一般社員クラスは「情報交換」を期待しています。そして係長・主任クラスは「情報交換」より、「目標の明確化と共有」に近い「情報共有」を重視しています。つまり、役職が上がるにつれ、個の最適化から組織の最適化へ、会議に期待するものが変わってくるのです。
「会議に期待したことがない」人の割合も役職別に分析すると、役職が上がるに従い下がっています。経験を積むと、会議の重要性がわかってくるし、有意義な会議に出合う確率も高まる。「会議なんかに期待しない」という人は組織全体が見えづらい若い層に多いのです。
しかし、現実を見ていくと、残念ながら理想とは違うようです。「会議で、以下のようなことが度々起こっていませんか」と、尋ねました(図8)。「あてはまる」および「ややあてはまる」と答えた人が多かったベスト3は、「いつも同じ人が話している」(92.4%)、「意見が活発に出ない」(72.3%)、「会議で決まっても実行につながらない」(70.7%)でした。
年齢別に見ていくと、「同じ人が話している」と感じている人は40から44歳、役職でいうと課長クラスに多い。企業の中で最も「発言したい」と思っているのに、なかなか思うようにいかないからだと思います。
「意見が活発に出ない」と思っている人を企業規模別に見ると面白い結果が出ました。大企業ほど官僚体質が強いので意見が出ない、と思ったら逆で、500人未満の中小企業のほうがそう感じる人の割合が高い。私もひと昔前、中小企業を経営していたのですが、自分の能力に自信のない人が多かったことを思い出し、合点がいきました。「実行につながらない」に関しても、中小企業のほうが多かった。資金が豊富な大企業と比べて、中小企業は最後に資金不足がネックとなる場合が多いので、会議後の実行力アップは中小企業にこそ必要なことです。