※本稿は、中島美鈴『会社でいちいち傷つかない 認知行動療法が教える、心を守り成果を出すための考え方と行動』(日経BP)の一部を再編集したものです。
能力の高い人は先延ばし癖がなおりにくい
体力的にもきつくなってきたし、こんな自分を変えたい。どうしたら計画的に仕事ができるのだろう。
いつも締め切りギリギリの人はいませんか? 仕事の締め切りに追われ、本人は肩身が狭いでしょうし、周囲はハラハラさせられっぱなしです。
実はギリギリ癖は時間あたりの生産性が高い、能力の高い人に多く見られます。能力が低い場合には、子どもの頃から締め切りにギリギリ間に合わないことが多く、大人になるまでに既に痛い目にあって、「もっと前もってとりかかろう」と学習できているのです。しかし、能力が高いと、ギリギリにとりかかっても、なんとか締め切りに間に合ってしまうのです。その結果、先延ばし癖が改善しないのです。
・計画的に仕事ができず、いつもギリギリ
・これまでは徹夜でカバーしてきたが、体力的にもう無理
時間管理は高度な技
ギリギリになってしまう背景について、物事の捉え方(認知)や対処の仕方(行動)を見直す、認知行動療法の視点で分析します。
時間管理には、脳の「実行機能」と呼ばれる働きが関連しています。主に、脳の前頭前野のいくつかの部位でなされていて、例えば料理のように、材料を買って、切って、煮て、味付けをしてという一連の計画を最後までやり遂げられるのも、実行機能の働きのおかげです。
前頭前野の機能は、生後すぐは非常に未成熟な状態です。高度な機能だからこそ、生まれてからさまざまな経験を通して、少しずつ成長していくといわれています。しかし、脳の特徴に合った経験ができないと、この実行機能がうまく成長させられないことがあるのです。
睡眠不足や疲労などによって、「今日は料理どころじゃない」「なんか時間がかかってしまった」なんてことはありませんか? これは料理のような、段取りが必要な作業に脳の働きがかかわっている証拠です。なんてことないように感じるかもしれませんが、脳が一生懸命働いている、非常に高度な技なのです。
実行機能がどのように働いているかについては、まだ研究途中で諸説あるものの、時間軸で見た場合、次のような4ステップからなることがわかっています。

