いつも仕事が締め切りギリギリになってしまう“ギリギリ癖”を直すにはどうしたらいいのか。臨床心理士の中島美鈴さんは「時間管理には、脳の『実行機能』という高度な働きが関わっている。時間管理に必要なステップを分解し、認知行動療法のテクニックを使うことで、ギリギリ癖を改善できる」という――。(第1回/全2回)

※本稿は、中島美鈴『会社でいちいち傷つかない 認知行動療法が教える、心を守り成果を出すための考え方と行動』(日経BP)の一部を再編集したものです。 

会社デスクでスマホを触る女性
写真=iStock.com/Pichsakul Promrungsee
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能力の高い人は先延ばし癖がなおりにくい

30代会社員のカナコさん。いつも仕事に追われていて、締め切り前には徹夜することも。
体力的にもきつくなってきたし、こんな自分を変えたい。どうしたら計画的に仕事ができるのだろう。

いつも締め切りギリギリの人はいませんか? 仕事の締め切りに追われ、本人は肩身が狭いでしょうし、周囲はハラハラさせられっぱなしです。

実はギリギリ癖は時間あたりの生産性が高い、能力の高い人に多く見られます。能力が低い場合には、子どもの頃から締め切りにギリギリ間に合わないことが多く、大人になるまでに既に痛い目にあって、「もっと前もってとりかかろう」と学習できているのです。しかし、能力が高いと、ギリギリにとりかかっても、なんとか締め切りに間に合ってしまうのです。その結果、先延ばし癖が改善しないのです。

相談の要点
・計画的に仕事ができず、いつもギリギリ
・これまでは徹夜でカバーしてきたが、体力的にもう無理

時間管理は高度な技

ギリギリになってしまう背景について、物事の捉え方(認知)や対処の仕方(行動)を見直す、認知行動療法の視点で分析します。

時間管理には、脳の「実行機能」と呼ばれる働きが関連しています。主に、脳の前頭前野のいくつかの部位でなされていて、例えば料理のように、材料を買って、切って、煮て、味付けをしてという一連の計画を最後までやり遂げられるのも、実行機能の働きのおかげです。

前頭前野の機能は、生後すぐは非常に未成熟な状態です。高度な機能だからこそ、生まれてからさまざまな経験を通して、少しずつ成長していくといわれています。しかし、脳の特徴に合った経験ができないと、この実行機能がうまく成長させられないことがあるのです。

睡眠不足や疲労などによって、「今日は料理どころじゃない」「なんか時間がかかってしまった」なんてことはありませんか? これは料理のような、段取りが必要な作業に脳の働きがかかわっている証拠です。なんてことないように感じるかもしれませんが、脳が一生懸命働いている、非常に高度な技なのです。

実行機能がどのように働いているかについては、まだ研究途中で諸説あるものの、時間軸で見た場合、次のような4ステップからなることがわかっています。