人口減少時代に「本当に必要なこと」

国家の制度OSを未来仕様へ更新するとは、国家の“進化速度”そのものを上げるという意味である。

未来仕様の国家OSとは何か。それは、挑戦が挑戦を生み、破壊が次の創造を呼び、挑戦と破壊と成長の循環が止まらない国家構造である。

国家技術インテリジェンス本部によって国家の勝ち筋を常時可視化し、ミッション型国家運営によって、“省庁”ではなく“未来課題”を中心に国家が動く。

人口減少時代に必要なのは“高流動×強セーフティネット”であり、挑戦が失敗しても次に向かえる国家である。

そして何より重要なのは、規制哲学の変革である。日本の規制は「原則禁止」であり、未来の技術を初期段階で封じ込めてしまう。

未来仕様の国家OSは「原則許可・安全弁」である。まず動かし、問題があれば止める。この哲学が、国家の挑戦のスピードと範囲を一気に広げる。

制度OSとは、国家の“見えない基盤”である。制度が未来を許すかどうかによって、国家の未来は決まる。

日本の国旗
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「技術を持つ国」から進化した姿とは

最終章:技術で未来をつくる国家へ――創造的破壊がひらく日本の新しい姿

日本は、技術を持っている国である。だが未来を持っている国ではないかもしれない。その違いは、技術の問題ではなく国家OSの問題である。

創造λで挑戦密度を高め、破壊で未来を妨げる前提を取り除き、成長γで挑戦が国力へ跳ね返り、制度OSで挑戦が止まらない国家へ。

この4つが同期したとき、日本はようやく“技術を持つ国”だけではなく、“技術で未来をつくる国家”へ進化する。

日本が国家戦略技術を本当に動かし、4つの国家エンジンが同期して回り始めた未来は、単なる概念としての「技術立国」ではない。それは、私たちの生活・産業・安全保障・行政のすべてが具体的な形で書き換わった国家である。

その未来の姿は、次のような光景として立ち上がる。