「豚小屋」と呼ばれた工場からの脱却
坂口捺染は、1953年に坂口さんの祖父によって創業された老舗の町工場だ。あまり聞きなれない「捺染」という言葉は、布・生地に色や柄を染み込ませ、手作業で印刷する技法である。同社は捺染の代表的な染色技術をルーツにし、スクリーンプリント(メッシュ版にデザインを転写し、インクを押し出す方法)へと発展させてきた。
坂口さんが2010年に専務に就任した当時、同社は深刻な課題を2つ抱えていた。1つは設備の老朽化だ。工場は従業員から「豚小屋」と呼ばれるほどオンボロの建物で、床は土間であり、雨が降れば濡れるような状態だった。
もう1つは、業務の偏りだ。アパレルメーカーからの下請けが中心だった当時、夏服のプリントに偏っていたため、3~5月に業務量が集中。従業員が残業で疲弊していた。一方、冬の閑散期には仕事が激減し、開店休業状態となり利益が出なかった。
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