労働トラブルといえば、解雇や労働条件の引き下げなどが多いが、いじめや嫌がらせなども増えている。そんな影響もあるのだろう。最近では心の健康面でのトラブルが増加している。

「業種、業績を問わず増える傾向にあります。特にウツ病ですね。誤った成果主義の結果、企業は個人の成果ばかりを見るようになり、上司、同僚、部下で助け合い、教え合うという余裕がなくなってしまった。メンタルヘルスのトラブルで、一番多い原因は、成果へのプレッシャーに押しつぶされてしまうことです。次にパワハラなど、いじめや嫌がらせ。3つ目が、うまくいかないのは周りが悪いからという、本人の甘えです」(杉山氏)

こんなトラブルを避けるには、どうしたらいいのか。「就業規則の内容をチェックし、会社として体の健康だけでなく、心の健康についても取り組んでいるかを確認する。メンタル面の問題が仕事に起因しているのであれば、会社側にきちんと説明すべきです。仕事の記録をメモしておくのも大切です。パワハラ、セクハラも同じ。場合によっては録音しておくのもいいでしょう」(杉山氏)

従業員10人以上の会社は、労働基準法により、労働条件や服務規律などを定めた就業規則を作成しなければならない。これをもとに会社と社員は労働契約書を交わす。その内容をきちんと把握しておくことが重要だ。

「どういう働き方をしたいか、どう働いてもらうか。個人と会社が合意して雇用関係を結ぶ時代になりました。柔軟な働き方やワークライフバランスへの対応、という意味で、労働基準法や育児・介護休業法、労働者派遣法などの重要な労働法令は常にウオッチしておく。新しい時代に対応した働くルールの面では、労働契約法やパートタイム労働法も重要です。法改正の内容も知っておきたい」(杉山氏)

(プレジデント編集部 山下 諭=文)