経済のグローバル化、働き方の多様化などによって、社会と企業、企業とサラリーマンを取り巻く環境は大きく変化してきている。これに合わせて、消費者や労働関連、企業関連など、いわゆるビジネス関連法の改正や新法の制定が相次いでいる。法律の専門家ならともかく、そのすべてを押さえる必要はないが、サラリーマンとして知っておくべき法律もある。
まずは、企業とサラリーマンの関係にかかわる法律だ。
リーマン・ショック以降、大勢の契約社員や派遣社員が切り捨てられ、「派遣村」は、仕事を追われた人たちの厳しい現実をあぶり出した。会社が倒産すれば、再就職先を探すのは容易でなく、正社員とて安心できない状況にあることも思い知らされた。
不況になって初めて、働く側がいかに脆弱な立場にあるのかがわかったという人は多い。しかし、いつも弱い立場にあるというわけではない。
「情報武装する労働者が増える傾向にあります。例えば、就業規則などを細かく読み込んで、会社側の不備を指摘する。雇用トラブルなどでは、企業外労働組合に支援を頼んだり、都道府県労働局にあっせんを求めるケースが増えています。経営側にすれば、企業内労組に比べて企業外労組のほうが扱いにくいでしょう。手段はさまざまですが働く人の一人ひとりが会社と向き合い、自分の身は自分で守るようになっていることは確かです」(社労士事務所HRMオフィス/特定社会保険労務士・杉山秀文氏)
例えば、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づいて、労使間のトラブルを話し合いで解決する個別労働紛争解決制度がある。
ここに寄せられた相談(都道府県労働局に「総合労働相談コーナー」がある)のうち、解雇や労働条件の引き下げなど、民事上の個別労働紛争に該当する相談は、2008年で約24万件だった。その前年は20万件なので、実に前年比20%増だ。働く側が公的機関を活用してトラブル解決を目指したということでは、情報武装の一手段だろう。