高齢になると眠れなくなり、睡眠時間も減って疲れが蓄積するようになる。「セロトニン道場」を主宰する現役医師・有田秀穂さんは「三つの脳内物質、セロトニン、オキシトシン、メラトニンを体内で合成・分泌できると、ぐっすり眠ることができる」という――。

※本稿は、有田秀穂『スマホ中毒からの心のモヤモヤをなくす小さな習慣』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

スムージーを飲んで驚いている男性
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朝はきちんと起き、疲れたら昼寝を楽しむ「シエスタ」生活

何も病気がないのに、朝、目が覚めても寝床に入ったままなのは、自分で時差ボケを作っているのと同じです。生体の「主時計」によるバイオリズムを捻じ曲げてしまうからです。

朝はまず、寝床から出て太陽光を浴び、セロトニン活性のあるリズム運動を始めることが大切。そうすれば頭も心も体も目覚めるように、人間の体はできています。朝の初めの一歩が、なによりも大切なのです。

眠くて起きたくないことがあるかもしれません。でも多少、眠くてもいったん起きて、疲れたら昼間、休めばよいのです。「昼寝」は太陽が出ているときの仮眠ですから、メラトニンは出ない状態です。

したがって健常な人の場合は、夜の睡眠のように、長時間眠ってしまうことはないはずです。

大体、30分程度で起きてしまうのが普通です。

つまり、「昼寝」は正常な人間の活動なのです。

疲れたらちょっと休む……「シエスタ」といって、「昼寝」を社会全体で楽しんでいる国もあります。

ただし高齢になると、睡眠ホルモン・メラトニンが減って、睡眠時間が減少していきます。でもその分、早く起きて活動を開始し、疲れたら「昼寝」を楽しめばよいのです。私は、高齢者が「昼寝」を楽しめるのが、望ましい社会のあり方だと考えています。飲食店で働いている方や農家の方など、ちょっとの「昼寝」を習慣にしている人は大勢います。

私自身も高齢者なので、シエスタ生活をエンジョイしています。もちろん、早朝から元気に目覚めて活動を始めているので、夜の睡眠導入もスムーズな状態でいます。