「欧米メディアは日本の左寄りのメディアの論調をコピー」
「極右」「歴史修正主義者」「超保守」「対中強硬派」……。
日本の新首相・高市早苗氏に関するメディアの報道にはこうした表現が目につく。国内もそうだが、海外のそれはより際立っている。長年、日本に在住し日本の政治を見守ってきた筆者からすれば、そうしたレッテルは明らかな誤認であり、読者や人々の理解を歪めると断言したい。
実際、AFP時事は、10月24日、「高市早苗新首相が外国人を大量に国外追放する省を設置したという偽情報が、X(旧ツイッター)とフェイスブックで主に英語で広く拡散している」と報じ、この時点で、全世界で900万回以上閲覧された、としている。
こうした報道姿勢に関して、静岡県立大学の竹下誠二郎教授(経営情報学部長、比較ガバナンス)は、高市首相誕生直後、英BBCからのインタビューの中で次のように語っている。
BBCの高市首相就任ニュースを見てたら、静岡大学の竹下教授のインタビューがあって面白かった。
— Jack of all trades (@hFbIn1fZHTdoPfG) October 22, 2025
多分幼少期からのバイリンガルだと思われるレベルの英語(発音もUS英語)で、言いたいこと言いまくってるのがいい。笑
調べてみたら民間出身で今は経営情報学部学部長なのか。 pic.twitter.com/NGzQXwcfnV
「多くの欧米のメディアは日本の左寄りのメディアの論調をコピーしているだけ。彼女が実行しようとしているすべての政策は(現状の)過度に親中かつ左派的な動きを正常化しているわけで、欧州での右派の領域には入らない」(回答は英語)
つまり、欧米メディアは「高市早苗、自民党、そして日本そのものについて非常に偏った描写」をしており、それを世界に垂れ流していると述べたのだ。
筆者自身も似たような経験をしている。CNN、アルジャジーラ、CNBCアジアなど主要メディアから高市氏について受けたインタビューは、決まって「超保守的ナショナリスト」「対中強硬派」「極右政治家」といった表現から始まる。こうした間違った「肩書き」は実質的な議論が始まる前に視聴者の認識を決定づけてしまう、完全に偏った用語である。
欧米メディアの偏向は今に始まったことではない。カナダのジャスティン・トルドー元首相(就任期間:2015年11月~2025年3月)は「権威主義的あるいは全体主義的な指導者」として描かれ、ドナルド・トランプ米大統領はヒトラーになぞらえられ、故安倍晋三元首相は日本の再軍備化に突き進む筋金入りの保守主義者として描写されたこともあった。

