※本稿は、本田健『AI時代の[お金を稼ぐ力]』(きずな出版)の一部を再編集したものです。
「知性の二極化」が進む時代にどう生きるか
私は今、AIの進化を見つめながら、基本的には明るい気持ちでいます。ただ、正直に言うと、同時にある種の不安も感じています。それは「AI格差」とでも呼べるものです。お金をかけて最新の有料AIを使いこなす人もいれば、無料の範囲で「まあ、これで十分」と思っている人もいます。
今は、好き嫌いくらいにみんな思っている、この差が、これからどれほど大きな影響を与えるのか。その未来を考えるたびに、背筋が少し寒くなるのです。
私たちはこれまで、知性の格差を「教育の差」や「家庭環境の差」といった言葉で語ってきました。けれども今後は「AIをどれだけ備えているか」「AIをどのように使えるか」という要素が、人生の選択肢を大きく左右します。まるでパソコンやインターネットが普及しはじめた頃と似ています。当時も「インターネットを使える人」と「そうでない人」の間に、知識と収入の格差が一気に広がりました。今回のAI革命は、それ以上のスピードで格差を拡大するのは間違いありません。
「頭のいい人」はAIをどう使うか?
私がさらに危惧しているのは、「AIが知性の差を埋める」どころか、かえって広げつつあるという現実です。本来、AIは誰にとっても平等なチャンスを与える道具のはずです。けれど、実際には頭のいい人ほど、AIを積極的に活用しています。彼らはAIに質問を投げ、分析をさせ、さらにその結果を自分の頭で分析して、新しいアイデアへと発展させています。そのスピードと量は、従来の学習の何倍、何十倍にもなっています。
一方で、AIにあまり関心のない人は「無料で十分」「AIなんて怖い」と言って、ほとんど使おうとしません。結果として、知性、思考力、リサーチ力、そしてアウトプット力のすべてにおいて、格差が広がっていくのです。このことを、彼らは知りません。
つまり、AIは知性の「ブースター(加速装置)」のようなものです。燃料を積んで発射台に立つロケットのように、もともと力のある人を、さらに遠くへ飛ばしてしまう。反対に、燃料を入れずに地面に立ち尽くす人は、どれだけ待っても空へは飛べません。この比喩こそが、今私が見ている未来の姿なのです。

