お腹がいっぱいなのに、何かを口にしたいときどうすればいいか。医師の山下明子さんは「『ごちそうさま』と言った後に、まだ少し何か食べたいと感じるときは、口の中の感覚に集中して、意識を食べ物から自分の体へ向け直すといい。また口寂しさを紛らわせ、心を落ち着かせるにはリラックス効果をもたらす『テアニン』というアミノ酸を含む温かいこの飲み物を口にするといい」という――。

※本稿は、山下明子『食べる瞑想』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

グラスに入った炭酸水を持つ手
写真=iStock.com/Gustavo Muñoz Soriano
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「満腹なのに食べたい」衝動の見抜き方

「食べる瞑想」は食事前や食事中だけではありません。食後の時間もマインドフルネスにつなげられる方法があります。

本稿では、そんな食事終わりにも心を整えることができる、新しい瞑想法をお伝えしていきます。

「ああ美味しかった」
「味はまあまあだった」
「もう食べられない」

食べた直後にはさまざまな「つぶやき」が浮かんでくると思います。

食べた量に満足したのであれば、さらに食べる必要もなく、落ち着いた気持ちになれますね。そんなときは、食べた後に浮かんでくる「つぶやき」を素直に受け止めてみましょう。

すると「そっか、この食事量が自分にはちょうどいいのか」「もうお腹いっぱいだから、これ以上食べてきつい思いをしたくない」と、満足の一歩先にある感情にたどり着くことができます。

食事ができたことへの幸せを噛みしめながら、自分の素直な気持ちを認め、食事の量や味などを振り返ってみましょう。

でも、時には「まだ足りない」「食後のデザートが食べたい」というように、追加の食事をしたくなるときもあるかと思います。

そんなときにするべきことは、ただ一つ。

今の空腹度がどのくらいなのかを感じてみることです。

次の「空腹スケール」を使って、具体的に食後の空腹度を数値化してみましょう。その後、実際に口にするかは、そのときの「空腹度の値」で決めてみてください。

【図表1】食事前に「空腹度」を数値化してみる
出典=山下明子『食べる瞑想』(三笠書房)

これを繰り返していくと「自分にとって3のときは、すぐにお腹いっぱいになるから食べなくてもいい」や「4のときにご飯一杯をおかわりしたら、ちょうど2くらいになる」などと、適切な食事量を具体的に感じ取れるようになります。

ちなみに、私たちの体は食べ終わってから満腹感が得られるまでに少々時間がかかりますので、それも考慮したほうがいいでしょう。