コロナ禍で高まった「地方暮らし」への関心
コロナ禍で一時的に首都圏への人口流入が減少したが、現在ではコロナ禍前の状態に戻っている。一方で、コロナ禍を経て、地方移住や2拠点居住への関心は高まったようだ。
内閣府が2023年3月に実施した調査によれば、東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)に住む人たちの35.1%が「地方暮らし」に関心があると答えおり、20歳代においては44.8%となっている。2020年5月の時点では、全世代で30.2%、20歳代で39.2%であったことを踏まえると、関心の高まりがうかがえる。
では、実際にはどのくらいの人々が移住や2拠点居住をしているか調べてみると、2022年度に国土交通省が行った調査によれば、「主な生活拠点以外に滞在する地域(二地域居住等を行っている地域)がある」と回答した人は約6.7%であった。
※ただし、この調査では学生が実家に帰省するという過ごし方も二地域居住等として含まれていることに注意が必要だ。
2拠点(二地域)居住ではない地方移住については、定量的な調査結果が見つけられなかった。それは、地方移住にはUターンやIターン、人事異動による転勤など様々なパターンがあり、地方移住そのものの定義が難しい、というのが背景にあるようだ。
行動に移す人はあまり多くないとはいえ、移住や2拠点居住先はどうやって選べばいいのだろうか。
“移住者が選ぶ”街の住みここちランキング
移住や2拠点居住の参考になると思われるものに、筆者が企画、設計、分析を担当している「いい部屋ネット 街の住みここちランキング」がある。
なかでも2025年8月6日に発表した「“移住者が選ぶ”街の住みここちランキング2025<全国版>」は、回答者を移住者に限定して集計したランキングだ。
ランキングを見ると、1位は北海道東川町、2位は長野県原村、3位は沖縄県北谷町とトップ3は大都市ではない地方の街だ。4位は東京都中央区で、トップ30には大都市圏が多いものの、6位の熊本県嘉島町、20位の沖縄県中城村、22位の沖縄県与那原町など地方の街もランクインしている。
リリースには上位150位までを掲載しているが、例えば首都圏内でも移住者が多い湘南方面では、鎌倉市が33位、藤沢市が69位、大磯町が84位、葉山町が98位、茅ヶ崎市が120位となっている。中でも、81位に開成町がランクインしており、意外な街が見られるランキングになっている。

