突出した成果を出していないのに、上司の信頼を得られる人がいる。それはなぜか。元キーエンス社員でExgrowth代表取締役の岩田圭弘さんは「派手さはなくても毎月コンスタントな売上を出す営業担当者は信頼される。企業経営において最も恐ろしいのは不確実性だからだ」という――。

※本稿は、岩田圭弘『ひたすらKPI』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

ボールに向かって振られるバット
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです

一度の成果は「たまたま」の可能性がある

成果を出したら誰でも嬉しいものです。しかし、ここで安心してはいけません。なぜならば、上司はたった一度の成果では、あなたのチームの成果を本当の意味で信頼していないからです。

これは決して上司が意地悪なわけではありません。私自身、マネジャーとして部下を評価する立場になって初めて理解できましたが、一度の成果は、実は「たまたま」の可能性が否定できないのです。

つまり、上司からの評価を得るためには、チームの成果が一度出た際に、それが再現可能であることを証明する必要があるのです。

本稿では、KPIを使って一度出た成果に再現性があることを伝える方法を説明していきます。

「ホームラン」よりも「ヒット」の積み重ね

ビジネスの世界では、「ホームランよりもヒットの積み重ね」が重要だと私は考えています。野球に例えるとわかりやすいでしょう。

ホームランバッターは確かに華やかです。満塁ホームラン一発で4点も入ります。観客も沸きます。人気も出ます。しかし、いつもホームランばかり狙って、「ホームランか三振か」という打者より、コンスタントにヒットを打てる打者の方がチームとしては計算が立ちます。

ビジネスで考えてみればさらに明白です。

ある営業担当者が、通常の月間売上は500万円程度なのに、ある月だけ2000万円を売り上げたとします。本人は「大型案件を獲得しました!」と誇らしげです。

しかし、翌月はまた500万円に戻り、その次の月は300万円……。3カ月平均では約933万円ですが、この波の激しさは組織にとって大きな問題です。

一方、毎月コンスタントに800万円前後を売り上げる営業担当者がいたとします。派手さはありませんが、3カ月平均は800万円。数字だけ見れば前者の方が上ですが、経営者や上司の立場から見れば、後者の方がはるかに信頼できるのです。

なぜでしょうか。それは「予測可能性」の違いです。企業経営において最も恐ろしいのは不確実性、つまり「予測できないこと」です。来月の売り上げが500万円なのか2000万円なのかわからない状況では、人員配置も、投資計画も、在庫管理も、すべてが立てられません。