不動産市場に半年間で3兆円が流れ込む

2025年1~6月、わが国における不動産投資額は、前年同期比22%増の3兆1932億円だった。米不動産関連企業のジョーンズラングラサール(JLL)が推計結果を発表した。2007年の調査開始以来、上期の投資額が3兆円を超えたのははじめてだという。2025年通年では6兆円近くに達するとの試算もある。

注目すべきは、海外からの資金流入の増加だ。今年上期の不動産取引額の34%を外国人投資家が占めた。その背景には、わが国の実質金利(名目金利-物価上昇率)がマイナスであることだ。つまり、お金を借りても、返済するときにはお金の価値が下落している=お金の借り得ということになる。

わが国の金利が本格的に上がるには、まだ時間がかかりそうだ。つまり当面、投資家にとって不動産投資に有利な条件が続くことになる。

一方、不動産価格の上昇は、わたしたちのくらしに無視できない影響を与える。住宅価格、家賃の上昇は家計にとって打撃だ。米トランプ政権の政策などにより、今後、世界の経済や金融市場が不安定になることも想定される。物価や不動産価格の上昇で、私たちの生活は一段と厳しくなることも考えられる。

東京の都市部
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