健康で長生きするためにはどうしたらいいのか。肝臓専門医の浅部伸一さんは「脂肪肝には注意したほうがいい。アルコールを飲まない人や痩せている人でも、発症するリスクがある。就寝前2時間以内の食事を頻繁にしている人や、過度なダイエットを繰り返している人は要注意だ」という――。(第1回)

※本稿は浅部伸一『健康長寿の人が毎日やっている肝臓にいいこと』(自由国民社)の一部を再編集したものです。

脂肪肝、肝疾患を示す医師
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肝硬変になると、肝臓は健康な状態には戻らない

肝臓に脂肪が溜まる脂肪肝は、これまでそれほど深刻な病気と考えられていませんでした。しかし、最近になって研究が進み、脂肪肝を放っておくと、さまざまなリスクが高まることが指摘されるようになりました。

運動不足や食べすぎによる脂肪肝(MASLD)を放置していると、肝臓の細胞が徐々に壊されたり、線維化によって肝臓が正常に機能しない状態になります。これが「脂肪肝炎(MASH)」です。MASHになっても症状はあまりありません。

しかし、無症状であっても脂肪肝の人の約20%はすでに脂肪肝炎に罹患していることも明らかになっています。このままの生活習慣を変えないと、脂肪肝炎が進行して慢性的に肝臓に炎症が起こり、肝細胞の破壊と再生が繰り返されて線維化が起こります。

線維化というのは、肝臓にかさぶたのような物質ができて、正常の機能が果たせなくなることです。この状態が「肝硬変」です。

進行した肝硬変では、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)や全身倦怠感、手のひらの紅斑、足のむくみ、腹水が溜まることによる腹部の膨満感が見られます。ここまで進んでしまうと、健康な肝臓に戻すことができません。

逆にいえば脂肪肝でも、いまのうちに生活習慣を変えて脂肪肝炎へと進行するのを止めれば十分に完治が可能です。肝硬変まで進んでしまうと、「肝細胞がん」へと進展する可能性も高くなり、最終的には「肝不全」となって命に関わる状態になります。

ここであらためて、がんのステージではありませんが、脂肪肝がどのような段階を踏んで進展するかをまとめます。

第1ステージ 食べ過ぎ飲み過ぎ運動不足で肝臓に脂肪が溜まる
第2ステージ 肝細胞の5%以上に脂肪沈着(脂肪肝)
第3ステージ 脂肪肝から脂肪肝炎
第4ステージ 脂肪肝炎の慢性化・持続
第5ステージ 肝硬変
第6ステージ 肝細胞がんの発症リスクが高まる