「メラビアンの法則」に服装が与える影響とは
「外見なんてどうでもいい。要は中身でしょ」
そう言いたい気持ちもわかります。しかし、一期一会の出会いも多いビジネスの現場では、中身をアピールするような時間はないと考えたほうがいいでしょう。そのため、たいていの人が第一印象で「この人は信頼できるか」「仕事ができそうか」「一緒に仕事をしたいか」などを判断します。第一印象に関する心理を定義化した「メラビアンの法則」によれば、その判断にかかる時間はわずか数秒だそうです。たった数秒ですから、パッと目に入る服装や身だしなみがとても重要になるわけです。
大事なプレゼンや交渉でどんな素晴らしいアイデアを語ろうが、着ている服が野暮ったくてヨレヨレではビジネスセンスまで疑われます。逆に、口数は少なくてもパリッとしたスーツ姿で堂々としていれば、いかにもプロフェッショナルな印象を持たれて信頼感が増し、交渉がトントン拍子に進むこともあります。
着る服で運命を好転させる
わかりやすいのは、面接の場でしょう。いくらクールビズの時期でもノーネクタイで来られたら、私が面接官なら戸惑います。ネクタイが曲がっていたり、ポケットが膨らむほどモノを詰め込んでいるのも、だらしない感じがして「この人、大丈夫かな?」と不安になります。滅多にいませんが、シャツの襟元や袖口が汚れていたり、ほつれていたりしたら、さすがに採用を見送るでしょう。
つまり、着ている服一つで運を落としてしまうのです。逆に言えば、服装にはわずか数秒で運命を好転させる力があるということです。
・最近、何をやってもイマイチ結果が出ない
・能力は同じくらいなのに、ライバルばかりが出世する
・今よりワンランク上のステージを目指したい
そんな人は、ぜひ今着ている服を変えてみてください。多少の元手はかかりますが、誰にでもできて、効果はすぐに表れます。試してみて絶対損はないはずです。
立ち居振る舞いが洗練される「オーダースーツ」の魔力
私自身、40歳のとき運を身につけようと一念発起。それまで着ていた服を全部捨て、それこそ下着からスーツに至るまで総取っ替えした経験があります。特にスーツは、それまでの安っぽい“吊るし”から卒業して初めてオーダースーツを新調したのですが、これが自分をポジティブな性格に変えてくれたのです。
オーダースーツの良さは、まずそのフィット感です。人の体型は十人十色。既製スーツの型紙がぴったり合う人は、ほとんどいないと言われています。みなさんのなかにも、「ジャケットはちょうどいいけど、パンツがきつい」とか「肩のあたりに変なシワが寄る」など、既製服の着心地の悪さを感じている人がいるでしょう。
一方、オーダースーツは、きちんと採寸して仕立ててくれるわけですから当然ですが、自分の体にぴったり合ってラインもすっきり。身体上の欠点もうまくカバーされるため、着ただけで見た目のスペックが3~5割増ししたような気にさせてくれます。
また、こうした体にぴったりくる服を着ていると、自然に背筋がシャンと伸びます。なるべくシワにならないように気を使うため、立ち方、座り方、歩き方などの立ち居振る舞いも洗練されていきます。
これが量販店で買った2着3万円の吊るしのスーツだとしたらどうでしょう? どうせ安物だと思っていますから、汚れてもシワシワになっても、べつに惜しくもありません。したがって、安物のスーツを着ていると見苦しい行動をとりがちになり、人としての品格を落としてしまうリスクが高まります。当然、運も逃げていくでしょう。
オーダーなんて贅沢だと思うかもしれません。ただ、実際着てみるとわかるのですが、良いスーツは長持ちします。安ものの場合、シワやヨレができやすいため生地がこすれて劣化も早まるのですが、良いものは生地そのもののクオリティが高いこともあって、そう簡単にはヘタりません。それに、高いものほどちゃんと手入れして大切に扱うので、おのずと服の寿命が長くなるのです。
本格的なフルオーダーでなくても、採寸をしていくつかの型から選ぶイージーオーダーなら、10万円未満で手に入るものもあります。センスの良い店で専門家にお任せすれば、きっとあなたの体にぴったりの一着を作ってくれるはずです。チャレンジしてみてください。
良いスーツを着ただけで仕事に対するモチベーションも上がります。服にふさわしい自分になろうと努力します。自分に自信がつき、物怖じしなくなります。服が、あなたの「中身」をつくってくれるのです。
腕時計の選び方は要注意!
靴や鞄、時計などの小物選びも大切な身だしなみの一つです。ビジネスシーンでは、機能的で流行に左右されないもので、なるべく上質なものを選ぶと良いでしょう。上質な腕時計は、数万円程度はするものです。
ただし、上質といっても何百万もするような高級腕時計をつけるのは、個人的にはおすすめできません。あなたが一流企業の経営者なら別ですが、普通のビジネスパーソンが身の丈に合わないものを身につけていれば、見る人はどうしても違和感を感じます。この人はお金にルーズなんじゃないか? 裏で何かおかしなビジネスでもしているんじゃないか? など、モノは正真正銘の高級品でも、分不相応というだけで、逆にその人がうさん臭く見えてしまうのです。
特に私のような金融業界に身を置く者にとって、「信用」はビジネスの基礎であり、基盤です。相手を不安にさせるような行為は、絶対に慎まなければなりません。また、自分ではそのつもりはなくても、高価なモノは周囲の人の嫉妬を買い、これがあなたの運を落とす原因になることもあります。
運は、人が運んでくるものです。人に好かれ、人に応援されてこそ道が開けるのです。相手を苛立たせ、ネガティブな感情をかき立てることで、あなたに有利になることは何一つありません。
腕時計の世界には熱心な愛好家もいますから、スイス製の何百万円もする腕時計を本当に好きで所有している方もおられるでしょう。もちろん、高級腕時計そのものが悪いのではありません。大切なのは、あくまでもT.P.O.です。好きな、高級腕時計をつける楽しみは、プライベートに取っておいても良いと思います。


