たとえば母に、東京には多くの3つ星レストランがあるから、豪華な食事をプレゼントしようと思っても、「何が食べたい」と聞くと答えはだいたい「サイゼリヤ」。馴染みのあるメニューで、どんな料理か写真でわかるから。僕は物足りないんですが、本人がいいならそれが一番です。

結局、親が日本に来て一番何をしたいかといえば、僕と取りとめもない話をすることです。遊びも何も予定を入れない日をつくり、散歩したりお茶を飲んだりしながら「最近、どう」と話してみる。素敵な演出もいいんですが、もしかしたらそれが最も親子の絆を強めるやり方かもしれませんね。

その意味ではもう1つ、お勧めの親孝行があります。それは親にウェブカメラを贈り、スカイプでやり取りできるようにすることです。親がパソコンに不慣れなら、帰ったときにセットアップしてあげてください。デスクトップにスカイプのアイコンが出るようにして、クリックすればいつでも無料でTV電話ができますよ、と。

僕は週に1回、必ず父母どちらにもスカイプします。おかげで遠く離れていても疎遠にならずにすむし、孫の顔を見せてあげられます。僕の子供もお爺ちゃんとお婆ちゃんの顔をおぼえられます。

子供に「もう時間だからチューしてバイバイしなさい」と言うと、画面にチューってするんですよ。それをウェブカメラで追いかけて見せてあげると、親は大喜びです。

本当は実際に孫を抱かせてあげられればいいんですが、アメリカから遠く離れた東京に移り住んで孫を抱っこする機会を少なくしたのは僕の選択のせい。せめてこれくらいはしておかないと親不孝と思われてしまうし、遺産を分けてもらえなくなっちゃう。

コメディアン 
パトリック・ハーラン

1970年、アメリカ・コロラド州生まれ。ハーバード大学卒業。お笑いコンビ「パックンマックン」のパックンとしてお馴染み。
(構成=宮内 健 撮影=澁谷高晴)
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