「的確な言葉を、正確に引用する」こと

デール・カーネギーは引用のコツとして「その主題について話す正統な資格を勝ち取った人として、聴衆に尊敬される人物を正しく引用すること」(*)としている。

まずは、その道の“専門家”の証言を用いることで、話の要のサポートとなり、納得してもらうために効果を発揮する。“その人物の言葉と背景に対する信頼”が内容の後ろ盾となることで、自分の話自体も信頼を得やすくなるというわけだ。

どんなにいい言葉や著名な名言であっても、流れにそぐわなかったり、的が外れたりしていてはまったく意味が感じられないかもしれない。引用に際しては、自分の主張をサポートしてくれるような、こんな側面を考えてみよう。

1.正確に引用する
2.できるだけ、その人の専門分野・得意分野に関する内容を選ぶ
3.聞き手が納得し、尊敬できる言葉を選ぶ
4.個人的な利害や偏見ではなく、発言者の知識や経験に基づいたものにする
5.聞き手が共感できる言葉か考える

自分の主張をサポートするために「引用」を上手に活用し、発言の後ろ盾にすれば、自身の言葉により信頼や深みを生みだす武器となってくれるはずだ。ジョブズのように巧みな引用をする技術やセンスを得るために必要なのは日々の研鑚だ。いろんな人の発言にアンテナを張っておけば、誰でも効果的な発言に出会え、効果的な引用ができるだろう。

[参考資料]
*1 Dale Carnegie, [1991]The Quick and Easy Way to Effective Speaking, Reissue,.
『心を動かす話し方』(デール・カーネギー著、山本悠紀子監修、田中融二訳 2006年 ダイヤモンド社)

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