信頼できる人物の“重み”を借りる

たとえば、アップル社が「先を読んで動く企業である」ことを印象づけるために、ジョブズはこんな引用をしていた。

「パックがあったところではなく、パックが向かう先に滑っていくんだ」

これは、アメリカ人なら誰もが知るナショナルホッケーリーグ歴代最高のスター選手ウェイン・グレツキーの言葉を引用したものだ。彼は常に先を読み、必要なときに絶対的な場所にて“コレ”という動きをする。

この言葉をもとに、ジョブズは「アップル社をつくった初期のころから、私たちは『常にパックが向かう先に行く』ことを心がけてきた」と語った。実績のあるスター選手の言葉をサポートとすることで、アップル社の人気と実績、そして常に先を読む会社であることも印象づけている。

私たちが引用をするためには、新聞でこんな記事を読んだ、テレビでこんなことを言っていた……あるいは名言集から抜く方法だってあるかもしれない。いずれにしても、引用はできるだけ引用元が明らかで、信頼がおけると人物や内容であるほど効果は大きい。あるいは、知人が言ったこんな一言や、伝えたい内容を端的に表した強い表現だとしても、うまく流れにさえのせれば、その言葉がより自分の発言に重みを加えてくれるだろう。

では、効果的な引用をするためには、どんな点を重視したらいいのだろうか。