投資コストと分配型の落とし穴

ここで実際に金融商品を選ぶときの基本的な注意点を挙げておきましょう。意外に見落とされがちなのが、手数料などの投資コストです。たとえ運用利回りがよくても、手数料が高ければ運用益にも響いてしまいます。購入する商品や金融機関によっても手数料が違うので、しっかりと比較検討して選びたいものです。

投資信託の場合、購入時に銀行や証券会社などの販売会社に支払う「販売手数料」と、購入後に運用管理の手数料として毎年支払う「信託報酬」の2種類があります。毎月一定額ずつ投資していく人は、積み立てるたびに販売手数料を差し引かれることのないように、「ノーロード」と呼ばれる販売手数料無料の投信を選ぶとよいでしょう。一方の信託報酬に関していえば、インデックスファンドよりもアクティブファンドのほうが高くなる傾向があります。アクティブファンドの運用利回りが優れていても、コストが足かせとなって運用益が減ることもあるので注意が必要です。

一見してお得に感じる「毎月分配型」にも落とし穴があります。毎月分配型ファンドは、毎月お小遣いのように分配金が受け取れることから個人投資家に人気です。しかし、分配型ファンドの仕組みをよく理解せずに、分配金が運用益だと誤解している人が多いのも事実。

分配金は、預貯金の利息のように元本にプラスして支払われるものとは違い、運用利回りが悪ければ元本を取り崩して支払われることもあります。そのぶん基準価格が下落し、トータルリターンがマイナスになってしまいます。最近はこうした過剰分配が問題視され、分配金の原資を期中の運用益に限定するよう法改正を検討する動きも出ています。

また、運用益を分配してしまえば、運用益を再投資して雪だるま式にお金を増やす複利効果が期待できません。長期投資で資産を増やしていきたい人は避けたほうがよいでしょう。

(構成=前田はるみ 写真=PIXTA)
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