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いまの営業マンをやる気にさせる言葉は?

しかし、いま増えてきているのは「評価」でモチベートされるタイプだ。このタイプに、厳しい言葉で火をつけようとするのは逆効果。それよりも「お客様が喜んでいた」「頑張りはみんな認めている」といった一言のほうが継続アプローチの動機づけになる。

また最近は、終身雇用が約束されない時代になって、会社に頼らずとも生きていけるように「成長」を重視する若い社員も増えてきた。1人ひとり、大事にしている価値観は違う。営業マネジャーはそれを見極めて、きめ細かくマネジメントすることを肝に銘じるべきだろう。

それでも部下がアプローチを止めてしまったら、どうすればいいのか。一度あきらめた部下を立ち直らせるには、うまくいかない原因を特定して、改善が可能であることを示すことが大切だ。

物事がうまくいかないとき、その原因は外部要因と内部要因に分けられる。営業活動なら、「市場環境が悪い」「商品力がない」は外部要因。一方、「プレゼン力がない」「スケジュール管理が下手で、顧客訪問の時間がない」は内部要因だ。一般的に部下がアプローチをあきらめるのは、外部要因=自分ではコントロール不可能な要因の影響が大きいと感じているときだ。自分が何をしても結果は変わらないという無力感が、あきらめる意識につながってしまうわけだ。

部下の心にふたたび火をつけるには、「うまくいかない原因は内部要因=自分の意思でコントロールが可能である」ということに気づかせなくてはいけない。もちろん内部要因を意識させるといっても、「おまえが悪い」と突き放すマネジメントでは部下を精神的に追いこむことになる。責任追及に陥らないように、一緒に解決策を考えていく姿勢が必要だ。

部下に成功体験を積ませることも効果的だ。ここでいう成功体験とは、大きな案件を受注することではない。必要なのは、プロセスの成功体験。「アポが取れなかった顧客とようやく会えた」「キーマンが不明だったのにヒアリングを通して判明した」といった小さなプロセスを一歩前に進めた経験を積ませることで、部下に自信をつけさせていく。

成功体験を積ませるには、一定期間、営業に同行したり密にミーティングを重ねるなどして、マネジャーが深くかかわっていくしかないだろう。兼任マネジャーにとっては大きな負担かもしれないが、部下が自信を取り戻すまでの辛抱だ。

なかにはいろいろ手を尽くしても、従来の営業スタイルから脱却できない部下が出てくるだろう。しかし、そこで焦ってはいけない。部下にあきらめない営業を強いるのだから、上司もあきらめないマネジメントで、部下を粘り強くフォローしていきたい。

(構成=村上 敬)
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