①西友の体質を変えられるか
下記は両社の直近2期を比較した決算データです。
トライアルは増収増益であり、24期連続増収という好調な経営状況です。ディスカウント業態のため利益率は低いですが、当期純利益も141%ですので出店やデジタル投資も含めて積極的に取り組んでいる中ではかなりの好業績をたたきだしていると言えます。
一方の西友は、23年12月期までしか公表されていませんが、減収増益という状況。当期純利益は前期比57.4%と大幅マイナスとなっています。24年には北海道の9店舗をイオンに、九州69店舗をイズミに売却したため、現在は本州に242店舗というのが西友の展開エリアとなります。
西友は本州中心の店舗展開になったとはいえ、現状はこれまでの西友流の店舗運営スタイルです。PB商品開発力に一日の長があるとはいえ、トライアルから見れば店舗にかける人員数、売り場づくりのムリ・ムダ、店舗のデジタル化の遅れ、非効率的な販促手法など、変えるべき点は多々あります。
これらをどのくらいのスピード感で西友に注入していけるか。
②ヤオコーやベルクと同程度の数字を出せるか
両社が一緒になることの最大のポイントは、首都圏の好立地にある西友を、トライアルが手に入れたことでしょう。もともと立地が良く、周辺に多くの人口を抱えるところに西友は店舗展開してきています。
それらの店をトライアル流の売り場オペレーションに変えることで、販管費が下がり、利益が出やすくなる可能性は高いと思います。もちろん、これまでトライアルが出店してきた地方の郊外立地と比べると家賃は高く、人件費も上がり、現在の販管費率17.5%を維持するのは難しいでしょう。
トライアルが西友を抜本的に変え、従来の食品スーパー型の販管費を大きく抑えることができるかどうかが課題でしょう。
ちなみに首都圏に展開する、ヤオコーやベルクという埼玉の成長スーパーでさえ24%程度の販管費です。
両社はスーパーの中では販管費は低いほうですが、トライアルが西友を抜本的に変えれば、ヤオコーやベルク以上に西友店舗の販管費を大きく抑えて、利益を出せるようになるかもしれません。都心の店舗の売り上げが乗ること以上に、都心の店舗の利益をかさ上げすることができる可能性がある点こそが、両社の相乗効果でもっとも期待できる点と筆者は考えています。