半分くらいは再稼働に漕ぎつけられる
現状を鑑みると、日本のエネルギー問題の解決方法としては、3つの選択肢しかない。
1つ目は原発を再稼働することだ。その大前提として、福島第一原発事故を徹底的に究明すること。事故の検証から導き出した安全対策を実行したうえで再稼働の条件を明確化する必要がある。地元や国民に対する情報の完全開示はいわずもがなだ。
物理的な対策だけでなく原発の組織としての対応にも問題がある。いかなる手順で誰が避難指示を出すのか、どうしたら自衛隊の出動命令を出すのかといったことも含めて、迅速に事故対応できる指揮系統を確立する必要がある。そこまでやってようやく再稼働の芽も出てくるのだ。
活断層に関する議論は、全くと言っていいほど意味がない。活断層は将来的に活動の恐れがある(地震が起きる)と予測される断層であるが、原発は地震に耐えられるように設計されている。
過去に世界で観測されたもっとも強力な活断層型の地震は、2007年7月の新潟県中越沖地震だが、直撃を受けた柏崎刈羽原発はすべてスクラム(緊急停止)している。
現状としては、活断層でどういう加速度の地震が起きるのか。その加速度に今の設計で耐えられるのか。耐えられないとしたらどう設計変更するのか――という議論をすべきで「活断層発見即停止」というのは、原子炉のことを知らずに、再稼働の判断の責任に怯えた規制委員会の逃げ口上でしかない。
このようにきちんとしたプロセスを踏んだうえで、国民や地元の住民に納得してもらえれば、日本の原発全54基のうち、半分くらいは再稼働に漕ぎつけられる可能性が出てくる。原発の電源構成比が以前の30%台には戻らないにしても、15%、20%に戻ってくれば(現状はほぼゼロ)、残りの電源は十分に対応可能だ。
再生エネルギーに依存しない徹底した節電を実施する。これが2番目の解決策だ。
「5年以内に電力使用量を50%削減する」目標を国策として推進すれば、5年以内に少なくとも30%程度の削減は実現できるし、そうなれば原発依存度をゼロにできる。
1970年代に自動車メーカーがディーゼル規制やマスキー法(アメリカの厳格な排ガス規制法)を乗り越えたときのように、厳しい条件を課されたときのほうが、日本企業は真価を発揮する。電力50%オフ社会が実現すれば、日本企業が省エネ技術で再び世界をリードすることも可能だろう。