日本は15ドル、アメリカは3.5ドル

3番目は、従来にない調達法で、多角的な「電力の輸入」に取り組むことだ。

露独間に設置されたガスパイプライン「ノードストリーム」。(ロイター/AFLO=写真)

日本は世界一のLNG(液化天然ガス)輸入国である。LNGは現地で液化してから輸送し、再び日本に到着してから気化させるから非常に効率が悪い。欧州勢はパイプラインを通じてガスのままの状態で買っているから、液化にかかる費用も気化にかかる費用もかからない。100万BTU(天然ガスなどで使われる英米の熱量単位)あたり、日本の15ドルに対して、ヨーロッパでは7ドル程度。アメリカはシェールガス革命の影響で3.5ドルぐらいに下がっている。

日本もガスの状態のまま直接輸入できるようになれば、今の価格よりはるかに下がる。私案はいくつかあって、1つはロシアのパイプラインが集中しているウラジオストクから新潟まで海底パイプラインを敷く方法。サハリンに発電所を建設して、発電した電力を電力ロスが少ない超高圧直流送電を使用して稚内まで送る方法もある。中国では超高圧直流送電を使って平気で2000キロメートルも電力を送っているから、サハリンから北海道、石狩湾から内浦湾を抜けて、茨城県鹿嶋市近辺までケーブルやパイプラインを引いてきてもいい。

電力需給は原発の再稼働と節電で十分にバランスが取れ、ガスパイプラインや電力の直接輸入のインフラづくりをすれば、日本のエネルギーは廉価に、かつ安定的に供給できるようになるのである。

自民党がまず取り組むべきはこうしたエネルギー政策の大枠を定めることだと思う。

(小川 剛=構成 ロイター/AFLO=写真)