再生可能エネルギー比率は10%が限界

さらに風も太陽光も不十分な場合に備えて、ガスや石油火力で20%分のバックアップ電源を常に確保しておく必要もある。これも無駄だ。その他、風力や太陽光は出力変動が大きいため、送電系統や配電系統の設備を大幅に増強しなければ、安定供給は維持できないというグリッドの問題点もある。

「発電量が安定しない風力や太陽光を基にした再生可能エネルギーの比率は、努力目標で10%が限界である」と私は考える。そのレベルを超えると技術的にも経済的にも非常に難しくなるのだ。

出力変動が少なく、設備利用率が高い再生可能エネルギーとして、バイオマスと地熱が有望視されている。燃料調達やコスト面で課題が多いバイオマスは、大規模発電には向かず、CO2排出の面では必ずしもクリーンではない。ガスの安いアメリカでは燃料電池の開発が進んで、発電効率も70%近いものが出てきている。コスト的にも信頼性のうえでも電力会社から買うよりも自家発電で、というデータセンターなどの採用例が増えてきている。

世界第3位の火山国の日本としては、地熱発電にもっと力を入れていい。地熱タービン技術については日本が世界一の技術を有していて、世界中で実績があるからだ。

地熱発電を国内で活用しない手はないが、熱源の大半は国立公園の中にあるため、国立公園法の規制や温泉観光地との調整などで開発に時間がかかるのが難点だ。